OTC類似薬保険外し 維新と合意したため何らか対応
保団連は11月11日の厚労大臣会見に出席し、現在審議会で議論が進んでいる「OTC類似薬」の保険適用除外について質問しました。上野賢一郎大臣は、見直し自体を取りやめる可能性について、「維新との合意に項目として含まれているため何らかの対応をしていくべき」と答弁しました。高額療養費制度の見直しが世論の反対をうけて一時凍結しましたが、今回も結論ありきで検討を進めるのではなく、患者調査やヒアリングを実施するなど慎重な対応が求められます。
審議会では消極的意見多数 保険者も「保険外しは難しい」と指摘
11月6日の社会保障審議会医療保険部会では、OTC類似薬とされる医療用医薬品について、用法・用量、効能・効果、対象年齢、投与経路、剤形などが市販薬と異なる点や、市販薬の価格が高い点が示されました。委員からは、「市販薬の使用は一時的・緊急的な対応で、医療機関に受診して自分の薬剤使用が適切だったかどうか、あるいは保険適用の薬に置き換えてもらうという形にすべきだ」(兼子久・全国老人クラブ連合会理事)、「成分が一致していても様々な違いがあることがわかった。OTC類似薬だからといって保険外しすることは難しいと受け止めた」(林鉄兵・日本労働組合総連合会副事務局長)、「患者が薬の違いを理解し、他の薬との飲み合わせに注意し、病気に対して適切に薬を選択することは現実問題として難しい。どの程度の期間服用すればよいかを自己判断しなければならないということは、軽い症状で受診を控えれば重篤な疾患の早期発見・早期治療の機会を失うことも否めない」(城守国斗・日本医師会常任理事)など、保険外しに消極的な意見が相次ぎました。
「ヒアリングを行うかどうか」含め検討
保団連は質問で、難病患者の家族が呼びかけたアンケートに多くの声が寄せられ9割が保険外しに反対していると指摘。審議会で議論されているように子どもや慢性疾患を抱える方、低所得者などの配慮すべき対象者は「保険適用が継続された」と受け止めてよいのかと質しました。上野大臣は「骨太の方針2025」の記載を踏まえ、必要な受診の確保や対象者への配慮などを検討すると述べるにとどまりました。
また、患者アンケートや審議会での慎重意見は把握しているとし、「ヒアリングを行うかどうかも含め丁寧に検討を進めていきたい」としました。難病患者の家族からは「配慮といっても負担増に変わりない」との意見が出されています。
保団連
難病患者家族が呼びかけて保団連も協力した患者影響調査では、OTC類似薬が保険除外された場合、8割が「薬代が高くなる」、6割が「薬が必要量用意できず 症状が悪化する」と回答し、9割が保険除外に反対している。厚労省にも資料を提供しているが、調査の受け止めを伺いたい。
また、厚労省として患者調査や当事者ヒアリングを実施する予定はあるか。11月6日の社会保障審議会医療保険部会では、子どもや慢性疾患を抱える方、低所得の患者への配慮が議論された。こうした配慮すべき対象者は「保険適用が継続された」と受け止めてよいのか。
厚労大臣
ご指摘の調査については承知している。OTC類似薬の保険給付の見直しについては、骨太の方針2025において、医療機関における必要な受診を確保し、子どもや慢性疾患を抱えている方、低所得の方の患者負担などに配慮しつつ検討するとされているため、これを踏まえて検討を進めている。
現在、審議会における議論の中でも、受診遅延による健康被害や飲み合わせリスクといった課題の指摘、あるいは過度な負担や急激な変化が生じないよう、配慮を求めるような意見などを伺っている。
このような意見や患者のおかれている立場は様々だが、これらを踏まえながら多様な声を政策に反映できるように、ヒアリングを行うかどうかも含めて、丁寧に検討を進めていきたいと考えている。
保団連
今年の通常国会で高額療養費制度の見直しが一旦提案された後に一時凍結になった。OTC類似薬の保険外しについてもより一層関係各所で議論が深められると思うが、今後、見直しの提案そのものを取りやめる、中止するような可能性はあるのか。
厚労大臣
これについては、維新との合意に項目として含まれているため、一定何らかの検討を進め、何らかの対応をしていくべきだろうと思うが、これにつきましても検討の中で議論を進めていきたい。


