【OTC類似薬の保険除外】アトピー性皮膚炎患者の社会保険料は年間1200円削減の一方で薬剤費は約12万円増加

2025年11月6日

日本維新の会は、OTC類似薬の保険適用を除外し、現役世代の社会保険料を下げると主張しています。保険適用が除外されて市販薬を購入した場合、患者の薬剤費負担が増加します。社会保険料引き下げ効果と薬剤費の負担増加額がどうなるか検証しました。

日本維新の会が4月17日の自公維3党協議で提案した28有効成分の保険除外リストに記載された薬剤の医療費(薬剤費)の削減額は1543億円と試算しています。上図は厚労省医薬局が試算し日本維新の会の猪瀬直樹参議院議員事務所が作成したものです。1543億円は2024年度の医療費(48兆円)のわずか0.3%に過ぎません。国民1人あたりの社会保険料は、年間約1200円(月100円)の引き下げにとどまります。

維新の会が提案する28有効成分の保険除外リストにはアトピー性皮膚炎の患者さんが常時使用している保湿剤(有効成分:ヘパリン類似物質、薬剤名:ヒルドイド)やステロイド剤(リンデロン軟膏)も含まれています。日本アトピー協会がアトピー性皮膚炎の患者さんが1か月に使用する薬の用量をベースに保険除外され、市販薬購入を余儀なくされた場合の薬剤費の患者負担増加額を試算しました。

その結果、処方薬(医療用医薬品)の場合、保湿剤(ヒルドイド・先発品18.2円/g)を一月に150g使用で2730円の負担額となりますが、市販薬購入だと150g使用で約4245円に増加します。さらに、ステロイド軟膏(リンデロンV軟膏0.12g)では40g=240円が市販薬だと40gで8720円に増加します。処方薬だと月額2970円のところ市販薬だと12965円になり、月額で9995円、年額で約12万円の負担増となります。

検証の結果、OTC類似薬が保険除外された場合、アトピー性皮膚炎の患者さんは、社会保険料が年間約1200円削減される一方で12万円の負担増となりました。