暮らしと平和・社会保障を守る政治への転換を求める
物価高騰、実質賃金の低下、医療・社会保障費の相次ぐ負担増で国民生活は困窮を極めており、医療機関も深刻な経営危機に陥っている。
石破政権は、昨年10月の衆院選で与党過半数割れに追い込まれたが、防衛費倍増、大企業・富裕層への優遇施策は温存し、さらなる医療・社会保障費の負担増・給付削減を計画している。今必要なことは、物価上昇に見合う大幅な賃上げや所得再分配機能の回復に向けて医療・社会保障を充実させることであり、応能負担原則に基づく社会保障財源の確保が不可欠である。私たち医師・歯科医師は、平和で安心して暮らせる政治・社会の実現を目指し、下記項目の実現に向けて全力で取り組む。
記
一、2024年診療報酬改定は、医療費抑制を強行する医学管理料等の改悪や、医療DX推進体制整備加算に象徴される療養の給付とは言えない点数に大きな財源が割かれるなど、不合理が多いものであった。全ての医療機関における物価高騰、賃上げ、感染症対策充実こそが喫緊の課題であり、期中改定を行い、基本診療料を大幅に引き上げること
一、「少子化対策」を口実にした医療・介護の負担増、利用者負担増計画は中止すること。高額療養費制度の改悪を撤回すること
一、健康保険証の新規発行停止を撤回し、復活させること。オンライン資格確認義務化、オンライン請求の実質義務化を撤回すること
一、防衛費の大幅増額、防衛増税を中止し、財源を国民の生活・生業の再建や社会保障費の充実に回すこと
一、国の責任で医薬品の供給体制を安定させること。医薬品供給を不安定化させる薬価中間年改定は廃止・改善し、新薬の薬価算定過程を透明化し適正化すること
一、長期収載品の選定療養化は医療行為本体の保険外しにほかならず、公的医療保険制度の根幹を否定するものである。中止すること
一、新たな地域医療構想・ガイドラインの策定では、病床・病院の削減、医療費抑制ありきではなく、住み慣れた地域で最期まで安心してすごせる医療提供体制の確保を基本理念に据えること
一、絶対的医師不足を解消するとともに医師の働き方改革を実効性あるものとすること。医師多数区域での開業規制や「負の動機づけ」となる診療報酬は導入しないこと。医師確保は規制的手法ではなくインセンティブ方式を基調とすること
一、消費税をただちに5%に減税すること。インボイス制度は廃止すること
一、能登半島地震について、国が責任をもって、医療・介護・福祉等サービスの確保・利用を図るとともに、被災者の生活・生業の再建を行うこと
一、原発新増設に大きく道を開くエネルギー基本計画を撤回すること
一、政府は、非人道的である核兵器は国際法違反と宣言し、核兵器禁止条約を署名・批准すること
一、沖縄・普天間基地は無条件撤去し、辺野古への新基地建設を直ちに中止すること
2025年1月26日
全国保険医団体連合会
2024~25年度第2回代議員会