【要望書】新型コロナ陽性患者の発生届・公的措置の継続と改善を求める要望書

全国保険医団体連合会では、下記の要望書を厚労大臣に提出しました。PDFはこちら[PDF:193KB]

2022年9月12日

厚生労働大臣 加藤 勝信 様

全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇

【要望書】行政の不作為による新型コロナ感染者の死亡事例等を生み出さないために、新型コロナ陽性患者の発生届・公的措置の継続と改善を求める要望書

国民医療確保に関するご尽力に敬意を表します。
さて政府は、新型コロナウイルス感染症の「発生届」の対象者を、①65歳以上、②入院を要する者、③重症化リスクがあり、コロナ治療薬又は酸素投与が必要な者、④妊婦に限定し、これ以外の陽性者については人数把握にとどめることができるよう見直すことを明らかにした。
この見直しは、感染者が急増し、HER-SYSへの入力や陽性者の追跡など医療機関や保健所の業務負担が増加しているためとしているが、「発生届」の対象外となれば、必要な公的措置が行われず、在宅で療養しているうちに体調が悪化しても気づかれず重症化、死に至る危険性もある。さらに、公的措置がなくなれば感染しても検査を行わない人が増え、それによって市中感染が更に拡大し、重症者や死亡者数が増加する危険性が高くなる。そうなれば医療供給体制は危機に瀕し、必要な医療が提供できなくなる可能性が高い。
そもそも医療逼迫の最大の原因は、コロナ禍以前から続く医療費抑制政策にある。また、HER-SYS入力の負担は、①不完全なシステムと、②負担に見合う財政措置を怠った結果であり、保健所の業務負担強化も長年にわたる保健所機能の削減に原因がある。
新型コロナウイルス感染症パンデミックが宣言された2020年3月からの日本政府の対応は、まったく不十分な対処療法でしかなかった。政府がなすべきことは、国民の命と健康、暮らしを守るためのシステムを速やかに構築することにある。
こうしたことから、当会は、下記の実現を強く求めるものである。

一、全ての新型コロナ陽性患者の「発生届」を継続し、陽性者に必要な公的措置・医療が提供できるようにすること。少なくとも「発生届」の対象外とされる陽性者についても、必要な公的措置・医療が提供できるようにすること。
一、HER-SYS入力システムを早急に改善し、入力方法を簡素化し、全国の自治体及び現場に直ちに周知徹底を図ること。また、HER-SYSの活用・管理・運用については、しっかりと分析・総括を行い、その結果を国民・医療担当者に周知すること。
一、希望する人が窓口負担なくPCR検査が実施できるよう全ての市区町村に、PCR検査センターを複数設置し、国が自治体に財政負担を行うこと。同センターで把握した陽性患者のHER-SYS入力は同センターで実施すること。
一、医療機関でのHER-SYS入力に対する財政措置を行うこと。具体的には登録人数に応じて自動的に医療機関に支払うようにすること。
一、保健所の数、職員数を大幅に増やすこと。