全国保険医団体連合会では、HPVワクチン接種の積極的勧奨が再開されたことに伴い、未だ残る課題に対して下記の要望書を厚労大臣に提出しました。PDFはこちら[PDF:150KB]
2022年9月12日
厚生労働大臣 加藤 勝信 様
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇
【要望書】HPVワクチンのキャッチアップ接種の周知、接種率向上、9価への切り替えなどを求める要望書
前略 国民医療の確保に対するご尽力に敬意を表します。
さて、2022年4月からHPVワクチンの積極的勧奨が再開されました。
関係者のご努力に敬意を表しますとともに、HPVワクチンの積極的勧奨再開によって子宮頸がんの罹患が減少し、かけがえのない命と健康が守られることを期待します。
しかし、①接種機会を逃した世代へのキャッチアップ、②接種率の向上、③男子への接種、④9価ワクチンへの切り替え、⑤ワクチン接種後に発生した健康被害への相談・治療体制の更なる充実など、まだまだ改善しなければならない課題は少なくありません。
また、子宮頸がんを予防するには、ワクチン接種と性に関する正しい知識、子宮頸がん検診の受診率向上も不可欠です。
こうしたことから当会では、下記の全ての項目について、取り組みの強化を求めます。
記
一、HPVワクチン接種率の更なる向上を図ること。
一、接種機会を逃した世代へのキャッチアップ接種について、3年間しかないことを含め周知の徹底をさらに行うこと。また、予防接種台帳が5年間で破棄されることから自治体の広報紙などでの周知をさらに図ること。
一、9価ワクチンの価格の適正化を図り、早期に定期接種の対象に加えること。定期接種になるまでの間は、9価ワクチン接種の場合も4価の助成費用を適用し、差額のみ支払うことで実施できるようにすること。
一、15歳未満に対してWHOは、1~2回の接種で十分であるとしていることから、国内においても15歳未満については2回接種に切り替えること。
一、HPVワクチン定期接種の対象に男子も加えること。
一、HPVワクチン接種後に発生した健康被害に対する相談窓口の拡充及び補償の充実、原因分析、並びに多様な症状を呈する患者さんの治療や相談・支援体制の強化を図ること。
一、子宮頸がん検診受診率100%をめざし、すべての方が費用の心配なく検診が受けられるようにし、広報を強化すること。働いている女性が子宮頸がん検診を受ける場合は、別途有給休暇が取得できるようにすること。
一、交際や性行為における同意、性感染症、避妊、デートDVなど、人権を含めた性教育をしっかりと行うこと。
一、予防接種施策を評価・検討する仕組み(日本版ACIP)の設立により、情報公開を含め予防接種施策の強化を行うこと。