新型コロナ感染症に対する要望書

全国保険医団体連合会では、新型コロナウイルス感染症の新規感染者数の定点当たり報告数が大幅に増加し、医療逼迫が広がっていることを踏まえ、下記の要望書を総理、厚労大臣に提出しました。

2023年7月18日
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇

新型コロナ感染症に対する検査・治療の公費負担及び医療体制の確保等を求める要望書

 

 新型コロナウイルス感染症の新規感染者数の定点当たり報告数は、5月8~14日(第19週)の2.63から7月3日~7月9日(第27週)には9.14に大幅に増加し、特に沖縄県では41.67となり、千葉、岐阜、愛知、三重、奈良、和歌山、鳥取、愛媛、福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島で10を超すなど、医療逼迫が広がっています。

 いま流行しているXBBは、過去の免疫を逃れやすい性質があり、再感染例も多いことが指摘されています。東京都が2月に行った大規模調査では、コロナ罹患者の25.8%に2カ月以上の後遺症が発生、うち生活に支障が出た人は85%、そのうち仕事や学校を休んだ人が51.8%に達しています。後遺症の原因は不明で、治療法も未確立です。

 従って、コロナに罹患しないこと、コロナに罹患した場合は早期に発見し、更なる感染拡大を防ぐこと、コロナ及び後遺症に関する治療がしっかりと受けられる体制をつくることが何よりも重要です。

 当会は、国民の命と健康に責任を持つ保険医・歯科保険医の立場から、政府が次の対策を早急に取られるよう強く求めるものです。

一、 新型コロナウイルス感染症の検査・治療に対する公費負担を復活すること。少なくとも9月までとされている治療薬の公費負担及び高額療養費制度の自己負担限度額減額措置は10月以降も継続すること。
一、 算定期限(7月末、9月末)が定められている診療報酬の特例措置を、10月以降も継続すること。コロナ対応病床への現行の財政措置を継続すること。
一、 新型コロナウイルスワクチンは、2024年度以降も特例臨時接種を継続し、接種後の健康被害の調査・研究、補償の充実、治療方法の確立を図ること。
一、 新型コロナウイルス後遺症(Long-COVID)に対する調査・研究、著しい症状を来す患者への公費負担の適用、治療方法の確立を図ること。
一、 感染拡大期には、地域の医師・医療従事者が協力して検査等を行う「地域外来・検査センター」を増やし、設置・運営費用について国が全額を負担すること。
一、 入院調整に関する医療機関間の対応に対するシステム構築及び財政措置を行うこと。
一、 感染症病床を拡大、保健所の数・体制・予算を強化し、公衆衛生行政を確立すること。
一、 政府として感染状況をリアルタイムで把握し、科学的知見に基づく感染症対策の継続及び国民等への周知を図ること。
一、 感染対策を強化するためにも、医科・歯科診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス費を大幅に引き上げ、強靭な医療・介護・障害福祉の提供体制を構築すること。

以上