令和6年能登半島地震における被災者医療と医療提供体制確保に関する緊急要望書(その3)

全国保険医団体連合会は2024年2月1日、能登半島地震での被災者医療確保に向けて、添付「令和6年能登半島地震における被災者医療と医療提供体制確保に関する緊急要望書(その3)」を岸田文雄首相および武見敬三厚労大臣に送付しました。

2024年 2 月 1 日

内閣総理大臣 岸田 文雄 様
厚生労働大臣 武見 敬三 様

全国保険医団体連合会
会長 竹田 智雄

 令和6年能登半島地震の 甚大な被害への貴職のご尽力 に 、 敬意を表します。

 能登半島地震は 、1月1日の震度7 によって多くの家屋の倒壊 が 発生し、 元々の医療提供体制が弱い現状から、特に半島北部では交通の便が極めて悪く、 大きな困難を抱えています 。

地震から1カ月 経った今でも、体育館などの避難所での生活を余儀なくされている方が多く、 被災された方々の生命と健康を守るための医療支援と、被災地域の医療体制の復旧・復興は、緊急・不可欠の課題であります。
当会は、医師、歯科医師10 万 7 千人の団体として、 1 月 1 日(その1)と 12 日(その2)にも 下記 内容につきまして緊急要望をしましたが、その後の状況も踏まえて、改めて要望書を提出いたします。
財源措置を含め、下記 事項実現に向けた 早急 な 対応をお願いいたします。

1.被災者の医療費一部負担金 及び 保険 料 (税 の 免除 措置を直ちに 拡大する こと。

(1)入院時の食事一部負担金の免除、 保険料(税)の免除 等 も含めて 行 うこと 。
(2 )協会けんぽ、健保組合、国保組合、共済組合等が実施する被災者の医療費一部負担金免除などの費用を国が負担し、免除が実施できない保険者がないようにすること。
(3 )これらの 取 り 扱い を 厚生労働省ホームページ などで 周知するとともに、 自治体や避難所、医療機関等、食料品店 、他県に避難している方も含め 、被災者が赴くあらゆる施設に 紙 媒体で 張り出し・ 配布 を行うとともに 、 SNS で 広報 を呼びかける など、あらゆる手段を通じて 遺漏のないよう 周知 すること。 特に、熊本地震では避難所よりも車中避難が注目されたことから、避難環境に応じた想定も 含め 周知 すること。
(4) 当面 4月末としている免除対象期間を延長すること。

2.被災者の介護保険の保険料および利用料、障害福祉サービス の 利用料 負担 の免除および減免措置を講じること。

3.被災地域の医療機関への医薬品、医療材料などの迅速な供給・確保を実施すること。

(1 )被災地域の医療機関に対する医薬品、医療材料、食材などの供給・確保を国の責任で実施すること。

(2 )医薬品 や 医療材料 が全国的に不安定な状況 の中で 、 迅速な供給・確保をメーカーに 周知・ 指導 すること。
(3 )被災地の医療機関等に不足しているガソリン、自家発電用の燃料等を十分に供給できるよう必要な手だてを講じ る こと 。

4.被災地の療養型病院において 急性期医療 を行った場合 や患者の受け入れを行った場合、投薬・注射、処置など包括範囲について、出来高払いを認めるなど、必要な手立てを講じること。

5.被災者に対する入院医療を円滑に 確保するため、他医療機関受診の規制を 透析患者以外でも 凍結 し、病院、診療所、介護事業所間の連携が不利益なく行われるようにすること 。

6.被災地における在宅医療確保の ため、往診や訪問診療、訪問歯科診療、訪問看護等を実施する車両については、駐車許可証(駐車禁止除外標章)がなくても、医師、歯科医師、看護師等であることが証明できる場合は駐車禁止区域でも駐車を許可すること。また、このことを警察など関係機関に周知すること。

7.避難所においては、感染症 対策 やジェンダーの視点に立った設置・運営を行うこと。

(1)避難所に必要な数の仮設トイレを設置し、毛布と燃料(灯油等)を届け、被災者に十分な量の栄養のある食事を提供すること。 障害者対策の確保を行うこと。
(2 )3密回避をはじめとした感染防止対策の徹底、間仕切りなどによるプライバシーの確保、避難者数に応じた男女別トイレや障害者用トイレ、オストメイト対応トイレの設置、授乳室や生理用品、下着などの確保、女性用更衣室の確保などを図ること。

(3)避難所において新たな 疾病患者 を発生させないために、医療機関に準じ た 感染対策うがい、手洗いの励行などの 対策 を講じ 、 そのため のマスクやアルコール等の衛生材料 を 各所に 常時設置 すること。

8.早急に国の負担で必要な数の仮設住宅を設置すること。

9.道路や電気、上下水道など、ライフラインの復旧に全力を挙げ ること 。

10. 被災者に対する予防接種を公費負担により実施すること。被災地で瓦礫や泥水の撤去等を行う被災者、及び被災地の支援活動に従事するボランティアで、破傷風ワクチンの接種を希望する者については、国がワクチン接種費用を公費で負担すること。 また「心のケア」など長期的な見通しにたった継続的な医療支援を行うこと。

11.高齢者、病弱者などが適切な医療・療養が確保できるよう、被災地以外での場所の確保を含む、受け入れ体制について行政が責任を持って行うこと。
保を含む、受け入れ体制について行政が責任を持って行うこと。

12.被災医療機関等における診療報酬支払いを滞りなく確保すること。

(1)20 24 年 2 月支払分( 20 23 年 1 2 月 診療 分) の早期支払い措置など被災医療機関 に 優先的 支援を行うこと。
(2)被災地の医療機関などが被災者救急医療や避難住民の健康を守るために行っている医療活動、診療活動に対して、 各種補助金、 災害救助法の適用拡大など最大限の経済保障を行うこと。

13.被災した医療機関および福祉施設への復旧・再建のために緊急支援を直ちに行うこと。地域住民の生命と健康を守る立場から、公的、民間問わず被災医療機関の医療機能の復旧・再建にむけ、支援対策を激甚災害法や特別立法の対象とするとともに、緊急かつ必要な支援措置を国 や 県 を あげてとりくむこと。

(1)医療施設等災害復旧費補助金の対象を全ての民間医療機関(病院、有床診療所、無床診療所、歯科診療所、歯科技工所等)に拡大し、補助割合を大幅に増やすこと。被災医療機関に対する制度の周知の徹底、十分な申請期間、申請方法の簡素化を図ること。
(2)「 なりわい再建 補助金 」等について、医療機関への周知を徹底し、十分な申請期間を設けるとともに、 要件緩和及び 申請方法の簡素化を図ること。
(3)災害復旧のための「医療貸付事業」について、融資の全期間を無利子とし、返済開始時期や融資期間を延長すること。 また、貸付限度額を大幅に引き上げること。

14「被災者生活再建支援法」を直ちに改正し、被災者が生活再建を行えるよう、支給金額を 850 万円に引き上げ(生活再建支援制度の限度額を 350 万円に増額し、居住安定支援制度の限度額を 500 万円に増額)、支援対象を半壊、床上浸水、一部損壊世帯まで拡大し、全ての被災者に支給するなど抜本的に改善をすること。

15.災害等廃棄物処理事業補助金を活用し、医療機器を含む災害廃棄物の迅速な処理を行
うこと。

16.被災地におけるインターネット上の偽情報・誤情報が深刻化 している 。すでに政府として技術的な対策も行っている と思うが 、政府 ・行政から 迅速かつ正確な情報を発信すること 。

以上