【OTC類似薬の保険外し】子どもや慢性疾患患者の負担増否定せず―厚労大臣会見

 

子どもや慢性疾患のケース「コメント差し控えたい」

6月17日の記者会見で、福岡資麿厚労大臣はOTC類似薬の保険外しについて、「法改正を伴わずに保険給付範囲の見直しを実行できるのか」「子どもや慢性疾患を抱えている方等の場合、保険適用は除外されないのか」等の質問に対して、いずれも「具体的な方向性が決まっておらずコメントは差し控えたい」と述べました。

「骨太の方針2025」では、「こどもや慢性疾患を抱えている方、低所得の方の患者負担などに配慮」との文言があるものの、今回の回答ではこうした方々が使用する薬が保険外しされる可能性は否定されませんでした。

「手取り増」も家計負担は今より重く…

市販薬は処方薬に比べて価格が格段に高いため、OTC類似薬が保険外しされれば大幅な負担増になります。医療費助成制度などでも助成の対象外となり、受診機会の多い子どもや難病患者などに負担が集中する可能性があります。

「骨太」では「現役世代の保険料負担軽減」がうたわれていますが、保険料が若干安くなったとしても、保険外しされた薬の購入費用で子育て世代などの家計負担は今よりも重くなりかねません。

こうした問題点に何ら触れず質問に答えない厚労大臣の姿勢は、非常に無責任です。


福岡大臣会見概要
保団連

・OTC類似薬の保険外しについて骨太方針2025では、「25年年末までに検討し、早期に実現可能なものは2026年から実行する」とされたが、薬の保険給付範囲の見直しは国民の命・健康に係る重大な事項である。法改正を伴わずに保険給付範囲の見直しを実行できるのか。

・骨太方針には、「こどもや慢性疾患を抱えている方、低所得の方の患者負担などに配慮」と記載されたが、保険適用は除外されないと理解してよいか。

・OTC類似薬が保険適用除外になると難病患者が利用できる公費負担医療や地方自治体の多くで実施されている子ども医療費助成制度も適用されず全額自費になると理解してよいか。

 

福岡厚労大臣

OTC類似薬類似薬の保険外しについては、「骨太の方針2025」において2025年末までの予算編成過程で十分な検討を行い、早期に実現可能なものについては26年度から実現するとしている。現時点では具体的な方向性は決まっておらず、「骨太」でも医療機関における必要な受診を確保し、子どもや慢性疾患を抱える方、低所得の方に配慮するとされている。この場で具体的なコメントをすることは差し控えたい。