保団連は10月29日、下記の声明を発表しました。
「消費税補てんの集計誤り」は限界の証
ゼロ税率による抜本的解決を
10月8日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会で、厚生労働省は、医療機関が負担する控除対象外消費税(損税)に対する診療報酬補てん分の集計に誤りがあったことを報告し、陳謝しました。
消費税負担の補てん状況は診療報酬改定に際しての基礎資料となるものです。この集計に誤りがあったことはそれ自体重大であり、強く猛省を求めるものです。
厚生労働省は今回の集計ミスの原因について、計算過程での複数のミスが重なったためなどと説明しています。同種の集計ミスは2015年実施の補てん状況調査でも生じ(2018年公表)、今回で2度目となります。このことは、複雑な推計と集計を必要とする診療報酬での補填の限界を示すものと言わざるを得ません。また、規模や診療科の異なる医療機関に対する診療報酬による補填では、ばらつきが避けられず、消費税負担分の精確な補填は極めて困難です。
診療報酬による補填に替え、ゼロ税率の適用による抜本的解決を図るべきです。
また今般の集計ミスに伴う補てん状況が修正され、特に2022年度分の補てん率(全体)は、100%を下回っていることが判明しました。 2024年度分の診療報酬改定では消費税分の上乗せ措置が見送られましたが、仮に集計ミスがなければ別の結論に至っていた可能性があります。
損税の累積や、物価高騰による課税仕入れ費用の増加に伴う消費税負担の増大は、医療機関の経営を圧迫し、人件費の削減や設備投資の抑制を余儀なくされており、このことは地域医療にも影響を及ぼす恐れがあります。
政府におかれては、かかる緊急事態に際し、次回診療報酬改定を待つことなく、早急に診療報酬を引き上げ、医療機関の経営実態に見合った財政措置を講じるべきです。


