経営難、改定で対応へ
物価高騰はとどまるところを知らず、職員の賃金アップもままならない―医療機関への財政措置と診療報酬引き上げは待ったなしだ。全国保険医団体連合会(保団連)は6月5日、財政措置を求める会員署名7443筆と、全51協会・医会から寄せられた団体署名を携えて財務省と厚労省に要請した。財務省は「医療機関の経営が苦しいことは承知している。厚労省と連携して改定につながる対応をしたい」と話した。
「診療報酬改定につながる手当を」
―財務・主計局次長
財務省から吉野維一郎主計局次長が応対。小池晃参院議員(共産)が仲介した。保団連の森元主税副会長は「医療機関経営が厳しくなれば、地域医療が崩壊する。そうなれば患者さんが一番大きな影響を受ける。早急な対応を」と要請した。
吉野次長は、「医療機関の経営が苦しいことは承知している。ただ、構造的な問題と物価高騰による影響、病院の損税問題など経営難の要因はさまざまなため、厚労省と連携して必要に応じてタイミングよく対応したい。この場で、具体的に、いつ、どんな手当をするかは回答できないが、診療報酬改定につながる的を射た手当をしていきたい」と話した。
細部千晴理事は「病院や診療所が潰れてからでは遅い。院長の給料をスタッフの賃上げに回しているのが現状で、医療機関への財政措置はまったなしだ」と訴えると、吉野次長は「診療報酬の改定まで待てないという声も承っている。地域医療の永続的な維持は重要だ」と理解を示した。
「骨太・改定で対応する」
―厚労・事務次官
厚労省からは、伊原和人事務次官が応対。田村貴昭衆院議員(共産)が仲介した。林裕章理事は「私たちはずっと低医療費政策の中で経営努力をしてきた。しかし、この物価高と診療報酬改定で努力も限界だ」と訴えた。
伊原次官は、「医療・介護分野は物価高騰・賃金上昇という現在の経済状況に追いついていないため、医療機関ではより強く経営難を感じていると思う。骨太方針や診療報酬改定で物価・賃金への対応をしっかりやっていく。改定まで待てないという声も多数寄せられている。補正予算や無利子融資などの対応もしているが、医療現場が継続していけるように財政当局とも議論し、対応する。社会保険料負担に対する国民の抵抗感が大きいが、医療あっての国民の暮らしでもある。税と保険料への正しい理解を広げるよう厚労省としても努力したい」と話した。
両要請にはほかに、愛知協会の杉藤庄平理事らも参加した。