第90回 勤務医委員会を勤務医部会へ
1961年に国民皆保険制度が実現し、「保険医の経営、生活ならびに権利を守ること」「保険で良い医療の充実・改善を通じて国民医療を守ること」を目的に、各地に保険医協会・保険医会が設立され、69年に全国保険医団体連合会が結成されました。
良質かつ適切な医療の提供のために医療が機能分化・高度化・専門化する中で、開業医と勤務医が連携していかなければ患者・家族とともに医療従事者が満足できる医療を行うことができなくなってきました。
私たち勤務医は診療・教育・研究・社会の啓発を行いつつ、専門医を取得し、高度な医療が行えるようにスキルを磨いています。例えば脳神経内科と脳神経外科によるストロークチーム、さらに ブレーンハートチームを作ったりして、多科・多職種によるチーム医療で高度な医療(例えばrt-PA静注療法、機械的血栓回収療法などの血管内治療、外科治療)を24時間365日提供しています。学会活動の中では、専門とする分野の制度設計に携わり、診療報酬も獲得しています。
私は熊本地震で大変な最中、日本脳卒中学会と日本循環器学会で作成した「脳卒中と循環器病克服5カ年計画」の中で脳卒中センターを提唱しました。その後、制度設計の責任者や、脳卒中センター認定では副委員長を拝命して日本の脳卒中の均てん化を目指す大きな仕事に取り組んできました。
熊本協会では理事、副会長、勤務医部会長を拝命して熊本のより良き医療を構築するために活動しています。地域医療構想、医師偏在対策、医療従事者の働き方改革の「三位一体の改革」が進行中ですが、2024年の働き方改革完全実施で、救急車受け入れが大きく変わります。会員増のためだけの勤務医対策ではなく、国民皆保険制度の維持・発展のために開業医と勤務医がしっかり協力していける、さらに勤務医にとって魅力のある保険医協会にしてほしいと願っています。
全国で女性医師の会がある協会・医会は16あり、保団連に女性部会があります。一方、勤務医部会・委員会があるのは、宮城、茨城、東京、愛知、京都、大阪、兵庫、熊本の8協会であり、保団連では勤務医委員会として活動を行っています。ぜひ、勤務医部会のある協会・医会が増えて、保団連に勤務医部会ができるようにと願っています。
橋本 洋一郎
1981年鹿児島大学医学部卒・熊本大学医学部第一内科、84年国立循環器病研究センター内科脳血管部門、87年熊本大学医学部第一内科、93年熊本市民病院脳神経内科、2022年済生会熊本病院脳卒中センター。日本脳卒中学会・日本頭痛学会・日本禁煙学会理事。