オンライン請求義務化

調査結PDF

オンライン請求の実質「義務化」に関するアンケート

 

全国保険医団体連合会(保団連)は6月13日~7月21日に、厚労省が示したオンライン請求(以下、オン請求)実質義務化の方針に関するアンケート調査を実施した。23都道府県4,146医療機関から回答があった。

 

1.調査結果概要

集計:7月21日

地域:23都道府県(24保険医協会・医会。大阪が医科・歯科協会から回答)

回答数:4,146医療機関

年齢:20歳代(0.3%)、30歳代(2.5%)、40歳代(11.9%)、50歳代(23.2%)、60歳代(37.9%)、70歳以上(23.3%)

医療機関分類:医科無床診療所2,733件(65.9%)、医科有床診療所172件(4.1%)、歯科診療所1,087件(26.2%)、病院143件(3.4%)

【厚労省が示したオン請求「義務化」方針について】

反対:2,165件(52.2%)

賛成:387件(9.3%)

どちらともいえない:1,485件(35.8%)

【オン請求に対する懸念(複数回答)】

ランニングコストが負担:1,443件(34.8%)

セキュリティが不安:2,047件(49.4%)

オン請求に対応できる人員がいない:709件(17.1%)

導入後のシステムメインテナンスや故障時の対応が不安:2,198件(53.0%)

初期導入費用が負担:1,064件(25.7%)

建物の構造上導入できない:81件(2.0%)

現在の請求方法(光ディスクまたは紙レセ)で不便を感じない:1,446件(34.9%)

「義務化」されると廃業せざるを得ない:293件(7.1%)

特になし:927件(22.4%)

その他:322件(8.0%)

 

【レセプト請求方法】

オン請求:2,572(62.0%)

電子媒体請求:1,272件(30.7%)

レセコンで紙請求:88件(2.1%)

手書き請求:167件(4.0%)

 

【今後のオン請求導入予定(オン請求を行っていない1527医療機関に質問)】

予定はない:753件(47.8%)

検討中:482件(30.6%)

予定がある:229件(14.5%)

 

2.特徴と考察

①医療現場は義務化を望んでいない 反対が半数以上、賛成は9%

回答した医療機関の約6割が既にオン請求を行っているにもかかわらず、義務化に「賛成」は約9%に留まり、半数以上(52.2%)が「反対」と答えた。厚労省はオン請求のメリットを強調するが、医療現場にとっては義務化してまで普及、徹底する必要性がないという実感を示している。

②運用上の懸念が大きい メインテナンス、故障、セキュリティへの対応

オン請求に対する懸念として、「導入後のシステムメインテナンスや故障時の対応が不安」(53.0%)、「セキュリティが不安」(49.4%)の声が多い。

機材の故障等のトラブルへの不安については、この間、マイナ保険証で受診した際、カードリーダーの不具合等によってオンライン資格確認ができないトラブルが医療現場で後を絶たない状況が大いに影響していると思われる。医療現場では、国の強引な施策によって混乱が持ち込まれる事態への懸念が根強い。

セキュリティへの不安については、近年、医療機関を狙ったサイバー攻撃が発生していることや、ネット環境への接続によって求められるセキュリティの水準が上層していることが影響していると思われる。

③費用負担への懸念が大きい

オン請求に対する懸念として、25.7%が「初期導入費用が負担」、34.8%が「ランニングコストが負担」と答えた。費用負担への懸念が目立つ。

オンライン資格確認義務化の際と異なり、オン請求導入には補助金がないことも、こうした懸念の背景にあると思われる。また、②にまとめたメインテナンスやセキュリティ環境整備等は実務負担だけでなく、費用負担としても医療機関にのしかかる。特に、現状で電子媒体請求が約7割を占める歯科では、診療報酬が低く抑えられてきたことから、オン請求に対応できるレセコンへの買い替え等に困難を抱えることが少なくない。

④約半数が実施予定なし そもそも現状で不便がない

現在、電子媒体請求や手書き請求等の医療機関では約半数(47.8%)が、オン請求実施予定がないと答えている。②③にまとめた懸念に加え、34.9%の医療機関が、「現在の請求方法で不便を感じない」と答えた。

オン請求は、未導入の医療機関にとっては、必要性はないが不安や負担だけはあるという状況だ。診療報酬請求の手段は、患者が受ける医療に何ら関係がなく、これまで問題のなかった電子媒体等による請求を廃止する合理性は、医療機関側にはないことが分かる。

⑤地域医療充実に逆行 義務化なら7%が廃院

義務化となった場合に「廃業せざるを得ない」との答えが7.1%あった。

厚労省はオン請求義務化を、「社会保険診療報酬支払基金等における審査・支払業務の円滑化」のためとしているが、地域医療充実に逆行しては本末転倒だ。

3.医療機関からのご意見・ご要望の一部抜粋

①現場は義務化を望んでいない
オンラインを行っているが、全ての医科・歯科に義務化するのは反対(北海道)
患者さんが本当に必要なのかどうか。政府は考えて欲しい。(岩手)
マイナンバーとの確認に時間と手間がかかり、今まで以上にスタッフに負担が増える。必要が認められない場合でも、処方や健診のチェックを実施する必要があり、診療以外の仕事が増える。(埼玉、千葉、東京、神奈川、長野、福岡医科)
患者の反対意見も多く、窓口(受付)で患者の声の対応にも困惑している。(埼玉)
請求方法にも、選択肢がほしい(電子媒体も可)。(埼玉、東京)
トラブルが多すぎる。日本のIT業界は未熟でシステム障害が頻繁。(埼玉、東京)
オンライン事故に対し、責任が取れないのであれば義務を強制することはできないと思う。(東京)
地域医療を支えてこられた先生方を切り捨てるような事は許せません。(東京)
小児科では乳児医療証等必要で、マイナカードのみでは対応できず、メリットがない。(東京)
プライバシーの侵害につながる。災害、システム障害時にマイナ保険証が使えない。多数の情報収集は国民監視につながる。(東京)
光ディスクの対応できていない地区もあり全国一斉に統一義務化はやりすぎ。(東京)
医療機関は患者さんの治療のためにあるので、それ以外のめんどくさい事はなるべくしたくない。どれだけ大変か政府の人が来て現場をみてほしい。(神奈川)
医療の本質とはかかわらないからです。(和歌山)
今現在オンライン請求を導入していますが、医事システムがオンラインでの複数公費(3者以上)等に対応しておらず(紙請求)、今後も更新予定ないとベンダーからの回答あり困惑しています。(長野、福岡医科)
保険証のオンライン確認すると有効の保険証もオンライン上では無効になっている保険証が見受けられる。その状態でオンライン請求が支障なくいくとは思えない。(静岡)
②運用上の懸念
自院以外から患者の医療情報が漏えいした場合、オンライン請求したことによる自分の責任に悔やまれる(北海道)
NTTをはじめとする通信インフラが不安定で信用できない。一本化は不安あり。万が一、トラブルが起きた時に不安、災害時やPCの故障など。全く操作ができなくなった場合のバックアップは、どうするつもりなのか。(岩手、埼玉、千葉、神奈川、富山、静岡、大阪、福岡医科)
厚労省のオンラインシステム構築の能力に信頼がおけない。(福岡医科)
確実に送信あるいは受信されているか確認できないのが不安です。(埼玉、千葉、富山)
例えばサーバー等、不具合が長期発生した場合、診療報酬等の保障はしてもらえるのか不明。(埼玉、新潟)
オンライン請求を義務化したことによるアクセスの集中で請求業務が円滑に行われないことを懸念する。実際に混雑していて請求(接続)できない時があった。また、トラブル時の窓口の対応も不親切。(埼玉、東京、富山、石川)
接続が不安定で時間がかかるが、何が原因かわからない。祝日が続いたりシステムが不良でつながらない時があり、期日内に請求できるか心配。(埼玉、長野)
返戻時など不明、不便を感じている。返戻不要なファイルデータが多く見るのが著しく大変である。また、返戻は紙の方が作業しやすい。(神奈川、富山、静岡)
マイナンバーに29項目もひもづけされて、他人に渡ったら大変。(東京)
医療機関に応じた請求方法でよいと思います。外部につながることはランサムウェアも心配です。(静岡)
サイバーアタック時は保険外に1000万単位の出費の恐れあり、今の日本で十分なサイバーセキュリティは期待できず恐ろしい。(大阪医科)

③費用負担への懸念

レセコンの買い替えが必要になり、もうすぐ導入予定。出費が大変。(秋田)
数年後の機械の入れ替えの費用負担は確認されていない。(神奈川)
ウイルスが入る可能性がある。その予防等に経費がかかる。(神奈川)
オンライン請求するためにレセコンの買い替えが必要なところが多いのではないか?(福岡医科)
④そもそも現状で不便がない
オンライン請求が便利だと思えば導入すればよい。したくなければ導入しなければよい。義務化する必要があるのか?(山形、埼玉、神奈川)
オンライン請求で特に不都合は感じていない(神奈川)
コロナの事がありいろいろと大変な時代なので費用等を考えると光ディスク、紙レセで請求されている医院は現状維持のままで良いと考える。(岐阜)
多くの人に負担をかけてするようなことでないと思うし今のままでいいと思う。(大阪歯科)
義務化ではなく、これまで通りで良い。(大阪歯科)
オンライン請求が便利だと思えば導入すればよい。したくなければ導入しなければよい。義務化する必要があるのか?(山形、埼玉、神奈川)
⑤地域医療充実に逆行 義務化なら7%が廃院
義務化されると廃業せざるを得ないひともいる(秋田)
廃業とまでいかなくても、保険医返上しなければならなくなる。(千葉)
義務化で廃業される地域の先生がおられると、他の診療所などにシワ寄せが出るおそれがある。(東京)
地域医療に貢献している医療機関が廃業になることは避けたい(神奈川)
妻実家クリニックが義務化によって廃業せざるを得なくなってしまった。(神奈川)
引退の時期を早めることも検討している。(神奈川)
オンラインになると廃業せざるを得なくなる医院もある。任意にすべき。(新潟)
義務化されると廃業せざるを得ないのではないかとの不安があります(長野)
義務化されると廃業せざるを得ない医師がいると思われる。(長野)
オンラインの今後を考えると廃業も視野へ(静岡)
近くの歯科医院廃業しました。(大阪歯科)
オンライン請求をしているができないところもある。強制は廃院を促す。(福岡医科)
義務化されると廃業せざるを得ないとまでは言い切れないが、その可能性はあります。(福岡医科)
その他特徴的な意見
返戻について、不明点があっても問合せダイヤルが電話に出ず、国保・社保に問合せしても答えてもらえず対応が悪い。(埼玉)
X-P等の画像添付ができない。(埼玉)
現時点でも「定型文」による返戻の為請求不備の詳細が不明→それに拍車がかかると思う。(東京)
オンライン請求は型にはまった検査、型にはまった処方しかできなくなっていく方向と思われる。(東京)
オンラインで生じるサイバーセキュリティ費用は保険点数に全く反映していない。(石川)
機械的に返戻・減点が行われて今よりさらにきびしい状況になるのでは?(大阪)

資料 オンライン請求の実質「義務化」に関するアンケートの詳細

・合計回収件数4,146件

FAX回収件数 3,704件 + WEB回収件数 442件

・回収率 8.9%(WEBを除く)

FAX回収件数 3,704件/FAX送付件数 41,832件

・23都道府県、24協会・医会

(北海道、岩手、秋田、山形、茨城、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、富山、石川、山梨、長野、岐阜、静岡、滋賀、大阪医科・歯科、奈良、和歌山、福岡、宮崎、鹿児島)

 

【問2】年齢
20歳代 14 0.3%
30歳代 104 2.5%
40歳代 494 11.9%
50歳代 962 23.2%
60歳代 1571 37.9%
70歳代以上 966 23.3%
無回答 35 0.8%
合計 4146 100.0%

 

 

 

 

【問3】区分
医科無床診療所 2733 65.9%
医科有床診療所 172 4.1%
歯科診療所 1087 26.2%
病院 143 3.4%
無回答 11 0.3%
合計 4146 100.0%

 

【問4】厚労省が示したオンライン請求「義務化」方針についてどう思いますか
「義務化」に反対 2165 52.2%
「義務化」に賛成 387 9.3%
どちらともいえない 1485 35.8%
無回答 109 2.6%
合計 4146 100.0%

 

【問5】オンライン請求に対する先生のお考え、懸念を教えてください(複数回答可)
ランニングコストが負担 1443 34.8%
セキュリティが不安 2047 49.4%
オンライン請求に対応できる人員がいない 709 17.1%
導入後のシステムメインテナンスや故障時の対応が不安 2198 53.0%
初期導入費用が負担 1064 25.7%
建物の構造上導入できない 81 2.0%
現在の請求方法(光ディスクまたは紙レセ)で不便を感じない 1446 34.9%
「義務化」されると廃業せざるを得ない 293 7.1%
特になし 927 22.4%
その他 332 8.0%
合計 4146

 

【問6】レセプトの請求方法について教えてください
オンライン請求 2572 62.0%
電子媒体請求 1272 30.7%
レセコンで紙請求 88 2.1%
手書き請求 167 4.0%
無回答 47 1.1%
合計 4146 100.0%

 

【問7】今後、オンライン請求を導入する予定はありますか
予定はない 753 47.8%
検討中 482 30.6%
予定がある 229 14.5%
無回答 110 7.0%
合計 1574 100.0%

診療報酬オンライン請求「義務化」方針の撤回を求める(声明)

 

 

2023年3月28日

全国保険医団体連合会

会長 住江 憲勇

 

厚労省は3月22日、社会保障審議会(医療保険部会)に、光ディスクなどで請求する医療機関に対して、原則2024年9月末までにオンライン請求に移行することを実質上義務付ける計画案(ロードマップ案)を示した。紙レセプト請求者に対しても、2024年4月以降は新規適用を終了し、既存の適用者には改めて届出を提出するよう求めるとしている。この実行のため2023年度中に請求省令を改正し、期限を区切って実施を迫るものとなっている。

 

突如示された「義務化」方針

この計画案は、昨年6月に閣議決定された規制改革実施計画の「社会保険診療報酬支払基金等における審査・支払業務の円滑化」という項で、「将来的にオンライン請求の割合を 100%に近づけていく」、「2022年度末までにロードマップの作成を措置する」としていた内容を具体化したものだが、突如1年半後に期限を切ってオンライン請求を「義務化」するという驚くべき方針である。これは医療機関におけるオンライン資格確認整備の義務化に便乗して、医療機関にさらなる負担と混乱を持ち込むものであり、強い憤りを覚える。医療DXを旗印に地域医療に徒に混乱を持ち込み、医療機関の経営を窮地に追い込むこのような政策には断固抗議するとともに、直ちに撤回することを強く要求する。

2021年3月に発表された「審査支払機能の在り方に関する検討会報告書」においても、オンライン請求の促進は掲げていたが、「医療機関・保険者等において、混乱なく取り組むことが可能となる環境整備が必要」としていたことから見ても、今回の計画案は医療機関の置かれている実態を全く考慮しないに等しいものである。

 

歯科の6割が甚大な影響

厚労省は光ディスク等で請求する医療機関について、アンケートを基に移行計画を示したというが、少なくとも、オンライン請求移行に要する期間が「1年以上」「わからない」と回答した数は6割にのぼる。またオンライン請求を開始する予定について「予定はない」が47%と約半数が回答している。このような状態で1年半後に「義務化」を強行するつもりなのか。とりわけ、人手が少ない小規模施設が多く、光ディスク請求を選択している6割の歯科診療所は影響が大きいことが予想され、歯科診療の安定確保さえ危惧される。医科も18,000医療機関に影響が及ぶ。

紙レセプト請求する多くの高齢医師・歯科医師等についてもわざわざ、紙レセプトは「経過的な取り扱いであることを法令上明確化」した上、改めて届出を求めるなど余計な負担を課すものとなっている。これではかえって閉院・廃院を後押しし、理不尽な結果も招きかねない。

 

審査効率化のため医療の質向上を犠牲

そもそもレセプトオンライン請求義務化を撤回した2009年11月25日の厚生労働省令第151号の概要説明で厚労省は「電子媒体による請求であっても、医療保険事務の効率化、医療サービスの質の向上等の政策目標は達成可能である」としていた。オンライン請求が全医療機関等の約70%に達している現段階で、地域医療の確実な確保や医療サービスの質の向上を犠牲にして、「より効果的・効率的な審査支払システムによる審査等のため」、「義務化」を無理強いするのはまさに本末転倒である。

厚労省は、医療機関に対してオンライン請求のメリットなどを強調しているが、そもそも、各医療機関は自院の診療スタイルなども考慮した上で、現状の請求方法を選択している。厚労省はメリットを強調するのであれば、まずは個々の医療機関に懇切丁寧に説明してオンライン請求を自発的に促す働きかけこそ行うのが筋であり、期限を区切って「義務化」を迫るような、極めて威圧的かつ乱暴なやり方と言わざるをえない。

 

医療DXの踏み台に

そもそも、今回のオンライン請求の「義務化」計画案は、データヘルス改革はじめ「医療DX」の工程管理から明らかなように、審査支払機関を、レセプト分析等を通じた「医療費適正化」(今次法改正で組織理念に追記予定)や医療等ビッグデータ(全国医療情報プラットホーム)の構築・管理に総動員させるために、医療機関に審査業務の手間がかからないオンライン請求に移行させることが狙いである。国が医療DXを進めるため、光ディスク請求等医療機関を踏み台にし、廃業しようがお構いなしの計画案だというべきものである。

コロナ感染拡大が続き、地域の医療機関に多大なストレスかかり続ける中、医療経営を人質にとってオンライン請求を強制するようなことは到底容認しえない。本会は医療機関にオンライン請求を実質上義務付ける提案を即時撤回するよう求めるものである。

詳細解説

厚労省は、3月23日、社会保障審議会医療保険部会で光ディスクなどで請求する医療機関に対し、24年9月末までにオンライン請求に移行することを実質的に義務付けるロードマップや基本的考え方を示しました。

4月よりオンライン資格確認義務化が実施される矢先に突如として示された「義務化」方針に医療現場の混乱は必至です。これはオンライン資格確認義務化に便乗して医療機関に「新たな義務」と負担と混乱を持ち込むものです。

医療機関を踏み台にして医療DXを推進するものであり、2024年9月のオンライン請求義務化方針の撤回を強く求めています。

審査支払機関のリストラが目的

オンライン請求「義務化」の真の目的は審査支払機関(国民健康保険中央会、社会保険審査支払基金)のリストラ(審査体制の縮小)にあります。審査支払機関の役割を公平な審査から医療費削減の査定機関と変貌させるものです。

光ディスクによる保険請求を行う医療機関には何の瑕疵もありません。

ロードマップはあくまで「目指す」方針

現時点で保険請求に関わる請求省令の変更は決まっていません。厚労省は、24年9月末までにすべての医療機関での保険請求をオンライン化するとし、ロードマップを示していますがあくまで「目指す」です。

医療界が大きく声を上げれば「義務化」方針の撤回も可能です。

サイバーセキュリティ対策も不可欠に

厚労省は、国会答弁を通じて、オンライン請求を始める医療機関に対する新たな補助金を予定していません。4月1日から医療法の改正省令が施行され、医療機関の規模にかかわらず、サイバーセキュリティ対策を義務付けています。

オンライン請求を実施している医療機関も対応が必要となります。セキュリティ対策の費用負担も要します。これまでオンラインによる保険請求を実施していない医療機関で導入を検討される際は、慎重な検討とガイドラインの順守が求められます。

光回線未整備は適用を除外

光回線が未整備でオンライン資格確認義務化の猶予届出を受理された医療機関はオンライン請求義務化も除外される方向となりました(3月29日デジタル委員会森光審議官の答弁より)。