月刊保団連2023年4月号

「道」

当初は注目されなかった旧統一教会問題 統一地方選を控えた今も、疑惑追及を続けるのみ

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鈴木 エイト

特集「認知症の人が医療に求めること」

平成29年版高齢社会白書によると、認知症患者数は2012年に約460万人(高齢者人口の15%)だったものが、2025年には700万人(高齢者人口の20%)になるという推計がある。これは全国民の17人に1人という割合である。
認知症の人は、年齢的にも様々な疾患に罹患している場合が多く、一般の医科・歯科医療機関においても、認知症の人への治療が求められるケースが増えており、時には本人への対応だけでなく、介護する家族への支援も必要となる場合もある。
こうしたことから、認知症の人と家族の要望や、医師の役割や課題、歯科医療の留意点、社会的支援の現状と課題、厚生労働省の認知症施策について紹介する。

いのちを守る専門家として寄り添う存在に──認知症の人と家族が医師・歯科医師に望むこと

認知症は治る病気ではない。しかし、進行を遅らせる薬の開発や非薬物療法、日常生活を続けるための支援によって、穏やかに暮らせる期間は長くなってきている。認知症問題の本質は、生活の障害を持ちながら、認知症を抱える本人とその家族が、診断されてからの人生をどう生きていくかということである。その中で地域のかかりつけ医は、本人と家族にとって最も身近にいる相談相手であり、伴走者だ。いのちを守る専門家として、不安を抱える本人と家族に向き合い、一緒に歩んでくれること──それが当事者たちの切なる願いである。

鈴木 森夫

認知症の人が見ている世界を知る

2025年には高齢者人口の20%が認知症となると推計されており、認知症の予防と当事者との共生が大きな課題となっている。認知症は、短期記憶障害に加え認識や知識にズレが生じ、生活障害を起こす。なぜ同じことを繰り返し何度も尋ねるのか? なぜ何度説明しても理解してもらえないのか? なぜ怒りっぽくなってしまうのか? 非認知症の私たちの世界からの見立てではなく、「認知症の人が感じている世界」を理解した関わり方こそ、不安の解消や自信の回復につなげる好ましいケアとなる。

川畑 智

認知症の患者と家族に対する第一線医科の役割と課題

高齢化に伴い、認知症になる人の数が増えつつある。2025年には65歳以上の高齢者の約5人に1人に当たる約700万人に達するとの予測もある。筆者は高齢化の進んだ地域で25年前に開業し、特養嘱託医、在宅医、認知症サポート医として診断治療に関わってきた。地域連携を重視し、「認知症になっても住み続けられるまちづくり」を目指して取り組んでいる。社会の在り方の変化もあり、根本的解決策は見えないが、自らの経験を通して第一線医科の役割と課題を考えた。

天谷 静雄

認知症になる前に、なってからも早期の歯科受診を治療困難になる前にやっておくべきこと

高齢になっても天然歯(自分の歯)を多く保つ人が増えたことは、8020(80歳で20歯保つことを目標とする運動)達成者が6割にも届こうとしていることからも証明されている。多歯時代の到来である。歯を残すことは良いことであるが、認知症の人にとっては様々な問題も起こってきている。人口構造の変化と歯科疾患の病態の変化が近年大きな問題になっている。

菊谷 武

認知症の人が安心して暮らせる「共生・予防」政策の推進を──認知症施策推進大綱の概要と今後の課題

政府は2019年、「認知症施策推進大綱」を策定した。認知症高齢者が65歳以上高齢者の5人に1人を占めると推計される2025年をめどに、「共生・予防」を柱とした、認知症に対応していくための施策を示したものである。2022年はその中間年に当たり、政府は各施策の進捗状況を公表した。
すでに2025年目標を達成したものがある一方で、当事者団体からは、評価の在り方や個々の施策の現状について意見、要望も出されている。

林 泰則

論考

歯科改定解説シリーズ

保団連は、2年ごとに行われる診療報酬改定の内容を冊子にまとめ、会員に周知している。歯科診療報酬改定説明会は、毎回全国の100以上の会場で開催され2万人近くが参加し、コロナ禍ではWEBを活用して開催するなど、好評を得ている。この他、『全国保険医新聞』や『月刊保団連』、ホームページなどを活
用し、随時改定関連の情報などを会員に発信している。保団連歯科社保・審査対策部では、2022年歯科診療報酬改定の内容を改めて会員に確認いただき、日々の診療と請求に役立てていただけるよう、2022年9月5日号より改定内容の解説を全19回シリーズで『全国保険医新聞』に連載中だ。連載中の当該改定シリーズより、5つの内容を抜粋して紹介する。

保団連歯科社保・審査対策部

診療研究

糖尿病とその合併症に関する最近の話題 第3回 糖尿病性腎臓病の治療の進歩

糖尿病性腎臓病(DKD)は末期腎不全だけではなく心血管イベントの危険因子であり、心腎連関を考慮した治療を行うことが重要である。心腎連関を標的としてエビデンスが確立しているのがSGLT2阻害薬である。
一部のSGLT2阻害薬において慢性腎臓病(CKD)あるいは2型糖尿病を伴うCKDに対して保険適応が拡大された。このSGLT2阻害薬と共に腎保護が期待されているのが新規ミネラロコルチコイド受容体拮抗薬のフィネレノンである。2型糖尿病を合併するCKDに投与が可能であり、今後のDKD治療に重要な役割を担うことが期待される薬剤だ。本稿では、SGLT2阻害薬とフィネレノンを中心にDKD治療の進歩について述べる。

川浪 大治

口腔顔面痛──歯痛・顎関節症と誤認しやすい病気の鑑別 第2回 三叉神経・自律神経性頭痛

三叉神経・自律神経性頭痛(TACs)は、片頭痛・緊張型頭痛に並ぶ一次性頭痛(いわゆる「頭痛持ちの頭痛」)の一つであり、群発頭痛を筆頭として4種類に分類される。いずれも顔面/頭部の片側の発作性の激痛と、患側に顕著な頭部自律神経症状を呈するという共通の臨床的特徴を持つ。TACsは顔面痛(歯痛)と感じられることがあるため、患者が歯科を受診することがある。中でも群発頭痛と発作性片側頭痛は、歯科医師が知っておくべき疾患である。

井川 雅子

今井 昇

文化

星と人類の歩み 天文学の30年─刷新される宇宙観 第2回 第2の地球を探す時代

ここ30年ほどで、私たちの宇宙に対する認識は大きく変わってきた。最も大きな進展のひとつは、太陽以外の星の周りを回る惑星が続々と発見されたことである。これにより、多くの星が太陽系と同じように惑星系を持つことが明らかになった。しかし、その惑星系の姿は様々であり、太陽系の惑星とは全く違う軌道を持つものもある。そういう惑星たちはどのように生まれ、現在の姿になったのか。そして地球のように生命が存在する惑星があるのか。少し前までは空想でしかなかったこういうテーマに、現在の天文学は挑んでいる。

青木 和光

経営

【経営・税務誌上相談】インボイス制度で開業医は何を注意するべきか

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益子 良一

【雇用問題】ミスの多い職員の退職勧奨の交渉を代理人に依頼できるか

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曽我 浩

【患者トラブル相談室】ネットへのネガティブな書き込み(12)「改ざん業者」による書き込みの削除方法

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尾内康彦