月刊保団連2024年1月号

「道」

このままでは日本の物流は崩壊する
トラックドライバーの労働環境と2024 年問題

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橋本 愛喜

特集「医療マンガが面白い!」

日本の医療マンガには50年以上の歴史がある。日本最初の本格的な医療マンガといわれる手塚治虫『きりひと讃歌』の連載が開始されたのが1970年。その後、名作『ブラック・ジャック』を経て扱うテーマも広がり、医師だけでなく、看護師、薬剤師、歯科衛生士といった幅広い医療関係者を主人公とした作品やマンガ家自身による闘病記など、多様なマンガが生み出されてきた。また、2007年にイギリスで「グラフィック・メディスン」が提唱され、医学部教育や医療現場でマンガを活用する取り組みも見られるようになっている。日本の医療マンガはどのような歩みを遂げてきたのか、医療分野でマンガはどのように活用されているのか、医師と患者のコミュニケーションにおいてマンガにはどのような役割が期待できるのか……。医療におけるマンガの可能性を考える。

医者がマンガ家になるとき

茨木保氏は、開業医として医療に取り組む一方で、マンガ家として数々の作品を生み出してきた。なぜ、医療とマンガの両方の道を目指すことになったのか、医療に取り組むかたわら、どのようにしてマンガ家になったのか、フィクションにおける虚構と科学的な正確性のバランスをどう取ればいいのか……。本稿では、マンガに親しんだ幼少期の思い出、憧れの手塚治虫との出会い、マンガ家デビュー、ヒット作品『Dr.コトー診療所』の監修など、医療の世界に身を置きながらマンガに取り組んできた歩みをご執筆いただいた。そこから医療におけるマンガの可能性が見えてくる。

茨木 保

医療にマンガを生かす試み
グラフィック・メディスンとは何か?

2007年、英国で「グラフィック・メディスン」が提唱され、欧米では医療者教育に教材としてマンガが導入されたり、移民など多様な背景を持つ患者に対して、分かりやすく説明するためにマンガが活用されたりしている。また、独自のマンガ文化が発達した日本では、医療をテーマにした多種多様なマンガが発表されており、近年は闘病体験を描いたエッセイマンガの興隆が見られる。本稿では、医療の専門化・細分化が進む中で、こぼれ落ちてしまいかねない領域もカバーする「医療マンガ」の可能性を考える。

中垣 恒太郎

ドクターたちの笑福マンガ劇場①

同人活動から歯科専門誌の連載へ
親と友人に恵まれたマンガ道

KANZ

スーパードクターはどこへ行くのか
日本の医療マンガ54年の歴史

日本の医療マンガは2020年に50周年を迎えた。手塚治虫による医療マンガの金字塔「ブラック・ジャック」から生まれたスーパードクターというキャラクター像は、奇跡のような手腕であらゆる傷病を癒やす超人として描かれる半面、リアリティの水準において医療行為の不正確さが批判されるという問題を抱えていた。本稿ではブラック・ジャック以降のスーパードクターがいかにしてその問題を乗り超えたのか、また医療マンガにおけるスーパードクター以降の題材の広がりについて考察する。

小林 翔

ドクターたちの笑福マンガ劇場②

言葉だけでは伝わらないことも分かりやすく説明できるツール

「下手くそ」なマンガに患者は何を感じるのか?
医師主導を転換させる「遊び」

日頃の診察で、一方的に長々と話をして、患者を置き去りにしてしまうことがないだろうか? しかし、説明の際にマンガを描いて見せることで、「遊び」や「余裕」が生まれ、患者の反応を引き出すことができる。また、言葉で説明するだけでは分かりにくいこと、感覚的に受け入れがたいことであっても、マンガを利用することで、ひと目で、すんなりと理解してもらえることもある。本稿では、多職種連携の場や診察室でマンガを活用している筆者に、実践例を通して感じたことなどを執筆していただいた。

福井 謙

ドクターたちの笑福マンガ劇場③

医局でマンガのコピーが出回り 某医学会の新聞に連載も

ぽん太

『ブラック・ジャック』は、なぜ古典となり得るのか?

マンガ『ブラック・ジャック』の中で描かれた、疾病や病態、医療問題などは、現代にも通ずるものがある。手塚治虫氏の医学的描写の正確さや、その根底にある深い人間洞察は、目を見張るものがある。『ブラック・ジャック』はいわば古典であり、読めば読むほど発見がある作品群である。筆者は2020年、そのうち興味深いストーリーについて、解題しまとめた『ブラック・ジャックの解釈学』を上梓し した。本稿では、筆者が医療を志す上で、この作品がどのように影響を及ぼしたのか、また、医師となった今、この作品をどう評価するのかについて述べる。

國松 淳和

診療研究

[シリーズ] 認知症診療のパラダイムシフトを迎えて

第3回アルツハ イマー型認知症を含めた認知症の予防

認知症も他疾患と同様、一次予防が重要である。アルツハイマー型認知症を含めた認知症発症には循環器病リスク因子、低教育レベル、難聴、抑うつ、社会的孤立などの修正可能な因子が関与している。これらを踏まえて、多職種による国家的な継続的アプローチで、国民の認知症発症率の減少を実現しなければならない。

藥師寺 祐介

歯科医師が知っておきたい摂食嚥下の基礎知識

第3回嚥下運動のメカニズム

嚥下運動は反射でも起こることはご存じですか? 嚥下運動は大脳からの指令により随意的に発生させることができますが、大脳からの指令がなくても、感覚神経からの刺激があれば反射により発生させることも可能です。これも、脳卒中などが生じても簡単には経口摂取が不可能とはならない理由の1つです。では、なぜ嚥下運動は反射によっても発生させることができるのでしょうか? 今回はそのメカニズムを説明します。脳卒中の種類によっては、一見難しそうでも経口摂取可能なものと、問題なさそうに見えても経口摂取困難なものがあります。今回説明するメカニズムが理解できると、それらの見分けも付けられるようになります。

市村 和大

文化

木版に刻まれたメッセージ
第1回 足尾鉱毒事件を描いた画家・小口一郎

栃木県小山市出身の美術家である小口一郎(1914~1979)は、足尾銅山の鉱毒事件をライフワークとして版画作品に表現した。全3回の連載の第1回となる本稿では、最初は油彩画家を目指していた小口一郎が、戦後になって日本美術会の北関東支部の美術家仲間たちと出会い、彼らと共に活動する中で、木版画の表現力と社会問題への意識に目覚め、やがて田中正造と足尾鉱毒事件のことを知って、それを絵物語のような連作版画に描いて発表していくようになる経緯を紹介する。

木村 理恵子

経営

【経営・税務誌上相談】電子取引データの保存義務

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益子 良一

【雇用問題】スタッフが配置転換を拒否してきた

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曽我 浩

【患者トラブル相談室】ネットへのネガティブな書き込み

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尾内 康彦

会員

創刊40周年記念リレーエッセイ ~私と『月刊保団連』 ②~

大二郎さんと語り合った地方自治

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佐々木 典彦