特集「戦争の不条理」
平和な生活の中でフィルター越しに見る戦争。これほど戦争を身近に、そして遠くに感じる時代はあっただろうか。そこには、命の序列化により、真っ先に切り捨てられる人々の姿がある。昔から、戦争で大きな犠牲を強いられるのは弱者だった。偏見により犠牲と苦難を強いられる障害者たち。罪のない子どもたちが殺傷され、性暴力も絶えない。また、多くの悲劇を生んだ沖縄では、いまだ米軍基地問題が続いている。それはまさに特定の犠牲の上に立つかりそめの平和だ。2023年10月7日にイスラム組織ハマスが行ったイスラエル奇襲以降、ガザ地区では死者数が3万8000人を超えたと言われている(2024年7月7日現在)。現在進行形で行われているジェノサイドに対し、私たちは見て見ぬふりをしたままで良いのだろうか。戦争がもたらすものは日常の破壊と人々の分断でしかない。そんな今だからこそ、戦争の不条理を考えたい。
「要塞化」する日本と沖縄 抗う歌と祈り
三上 智恵
孤児たちの終わらない戦争
石井 光太
女性兵士の増加は何を意味するのか? ジェンダー化されたイメージと現実
佐藤 文香