月刊保団連2024年10月号

特集「医薬品の安心安全なアクセスを考える」

市販薬を過剰摂取する若者たちのオーバードーズが後を絶たない。その背景には、いじめや家庭の問題、社会からの孤立などが複合的に絡み合っており、若者が市販薬を手に入れやすい現状が問題をより深刻化させている。厚生労働省は乱用の恐れのある市販薬の販売について年齢や数量の制限を設けるなど、2025年までに規制を強化する考えだ。その一方で、政府は業務の効率化や自動化を図るため、低コストなデジタル技術の活用を求めている。医薬品の店舗販売では薬剤師がオンラインで服薬指導するサービスが導入されるなど、さらなる規制緩和を進める方向だ。リスクを伴う医薬品購入が国民の自己責任とされ、安心安全な医薬品へのアクセスが阻害されることも懸念される。利便性や効率性だけでなく、安全性を確保する制度設計が必要だ。ポストコロナの予測不可能な時代である今、薬へのアクセスを見直す時が来ている。