特集「子どもの権利を守る社会へ」
1994年に日本は国連の子どもの権利条約を批准しながらも、政府は長らく子どもの権利を保障するための法整備を怠ってきた。そのため、子どもたちの声や意見が聞かれず、子どもの権利が尊重されにくい状態が続いており、子どもの虐待死など痛ましい事件が社会の注目を集めることもあった。こうしたことも背景に、国内法の整備を求める声が高まり、子どもの権利条約批准から約30年もの歳月を経て、ようやく、2022年にこども基本法が成立した。また、子どもの声を、子どもが関わるあらゆる場面に反映させるために、「子どもアドボカシー」が求められるようになっている(アドボカシーとは、意見表明の支援や擁護、代弁すること)。子どもの権利保障の機運が高まりつつある今、子どもたちの声や意見を尊重するために、大人として、医療者として、何が求められているのかを考える。
子どもは権利の主体 ~子どもの声を聴き、反映する社会を~
甲斐田万智子