12月14日に開催された厚労省の審議会(医療保険部会)では、政府のマイナンバー総点検本部による総点検結果(12月12日)のうち、医療保険のマイナンバー誤紐づけに係る総点検結果が報告されました。
厚労省は、医療保険の登録済みデータ(1億6000万件)に係る総点検結果で139万件の不一致があったことを報告し、来春目途に確認作業を終える予定との方針を示しました。
マイナンバーとひも付けの保険証情報 台帳と不一致 約139万件 | NHK | マイナンバー
保団連は、▽住民記録と医療保険の5情報による突合作業は、あまりにもデータが違いすぎるために困難であることを指摘してきました。
<保団連のこれまでの指摘>
1億6000万件の総点検―うち4000万件は過去の被保険者情報の点検だった! – 全国保険医団体連合会 (doc-net.or.jp)
マイナンバー登録済みデータ(1億6000万件)の謎 住民記録と医療保険はこんなに違う! – 全国保険医団体連合会 (doc-net.or.jp)
1億6000万件の総点検 11月末までは不可能 – 全国保険医団体連合会 (doc-net.or.jp)
【総点検徹底検証】デジタル庁は●あり漢字氏名をどう総点検するのか – 全国保険医団体連合会 (doc-net.or.jp)
国民の信頼回復のために、漢字氏名の不一致件数の全件報告、点検方法の情報開示を求めます
医療保険部会後の記者ブリーフィングにおいて厚労省の総点検では、5情報による点検とは言えず、漢字氏名を除く4情報による点検に過ぎず、不一致事例は報告された件数の数倍はあると指摘。国民に信頼を勝ち取るためには、▽5情報(漢字氏名、カナ氏名、性別、生年月日、住所)による総点検を完結すること▽点検・突合のロジックを情報公開し第三者検証できるようにすること―を求めました。以下は保団連の追及と厚労省担当官からの回答です。
保団連
医療保険者向け中間サーバーに登録済みデータ(過去分4000万件含めて1億6000万件)の住民記録(住民基本台帳)との突合が完了したとして、約139万件の氏名等の不一致が報告された。厚労省は保険者・事業者等に点検依頼して、来春目途に解消するとしている。
しかし、本件突合方法は重大な瑕疵がある。厚労省は、住民記録上の異体字を簡単な漢字に置き換えて突合したと説明しており、その場合は5情報による突合とは言えず、「4情報による突合」に過ぎないのではないか? つまり、4情報の突合で約139万件以上の不一致が報告されたとするのが正しい情報ではないか。どのような考え方で突合したとしているのか?
厚労省
住民記録の異体字は基本的に一番簡単な漢字に寄せて突合した
例) 厚労省の異体字の変換 齋藤⇒斉藤 髙橋⇒高橋 渡邉⇒渡辺
●が2文字以上ある場合は「不一致」と判定した。●が1文字の場合はカナ氏名、住所などが一致しているかで判定した。
そのようなものを一致とみなしてよいかというご指摘と思うが、我々としては、漢字だけでなく、カナ氏名や住所も含めてトータルで判断している。カナ氏名と住所が一致していれば、漢字に異体字や●が入っていても誤登録、別人というリスクは極めて低いと考えて総合的に判断した。そこにリスクがあるというご指摘もいただいたが、そこまで完璧に一致させるということは、そもそもデータベースが違うということもあり、保険者の負担や事務負担からも現実的ではないと考えている。
保団連
●1文字の事例は何件ほどあったのか?
厚労省
約139万件の中には、●1文字でかつ住所が間違えているものなどは入っているが、●1文字で住所やカナ氏名が合っているものはその枠外となっている。その正確な数字は手元にもっていない。
保団連
保険者・事業者による点検作業が膨大になることは理解するが、総点検は透明性を確保しながら第三者の検証ができるような形でやらないと、国民の信頼回復は得られない。来春までの総点検終了後に紐づけミスが出てきたら、不信感がさらに広がる。住民記録と医療保険の5情報による突合・点検の実施は厚労省が示して国民に約束した方針だ。時間をかけてでも医療保険と住民記録との5情報による点検・突合を実施して欲しい。そううでないと不安払拭が道半ばとなり、国民の信頼は得られなくなる。