【平将明デジタル大臣記者会見】「アナログの選択肢残す」というなら健康保険証を残せばいいだけ

10月2日記者会見で平将明デジタル大臣は、12月2日の健康保険証廃止について、「マイナ保険証が嫌な人に資格確認書というアナログ手段・選択肢を残しており、石破総理の総裁選時の発言と齟齬はない」と述べ、保険証廃止も「予定の日程通りのスケジュールで進める」と発言しました。

保団連は、「アナログの選択肢を残すというのなら健康保険証を残してマイナ保険証と併用すべきではないか」「マイナカードと免許証の一体化では、『運転免許証のみ』を選択肢とし、運転免許証も残している」「マイナカードは任意で保険証は義務で全員が必要となる」、「マイナ保険証トラブル対応で8割の医療機関が健康保険証で対処している」と指摘。平大臣の認識と対応を批判しました。

 

<平将明デジタル大臣記者会見>

記者

平大臣は昨夜、健康保険証を12月に廃止する方針を堅持すると発言しました。石破総理から何らか指示があったのか。

平大臣

石破総理から特別な指示はない。COVID-19の対応で保険証にICチップが入ってなかったために、マスクの配布もできなかった。災害が続発しているが、災害が起きたときに、お年寄りの方々が急いで逃げてきた。津波だったらもうすぐ逃げなければいけない。そのときに、持病の薬がわからないなど様々な問題・課題を解決できるのがマイナ保険証だ。皆さんの理解をいただきながら早急に広げていく意味がある。次のパンデミックが来るかわからないし、自然災害はいつ来るかわからない。急激な人口減少で、加速度的に人手不足が進行していく。皆さんに満足していただける行政サービス、社会保障サービスにも不可欠だ。様々な議論がある中で今の日程が決まったと承知している。また、不安な方には資格確認書を申請なしでお届けする仕組みも整っている。従来の日程通り保険証廃止を進めていきたい。

 

記者

総裁選中にマイナ保険証一本化に納得しない人が多ければ紙の保険証との併用も選択肢だと言われたがリップサービスだったのか。「口先内閣」と呼ばれかねない。林官房長官も不安払拭に納得していない人がいるのであればマイナ保険証一本化に移行する検討すると言われた。平大臣の発言と明らかに食い違ってるが。

 

平大臣

石破さん、林さんの発言は、「なんだかよくわかんない不安だ。全部デジタルに持ってかれたら、困る」という趣旨だと理解している。

石破さんは、「紙がなくなって全部マイナ保険証で12月1日から行くことに対して、やっぱり選択肢があったらいいのではないか」という趣旨で発言されたと思う。資格確認書という紙がプッシュ型で送られる。マイナ保険証が嫌だ、ちょっと怖いと思われる方には資格確認書がある。アナログのオプションも用意されているので石破総理の発言と大きく齟齬はない。やっぱり慣れがある程度必要だというふうに思う。COVID-19とかいろんなものを経験する中でマイナンバーカードの発行枚数は9000万枚を超えた。マイナ保険証も、クリニックで、顔認証カードリーダーを行う際に、微妙に角度が合わなくてエラーがでたり、いろんな不具合があるが、「慣れていくと結構便利だね」となる。徐々に理解が広がっていくと思う。ETCみたいに便利だから取得する人もいれば、取るのがいやだっていう人がいれば、有人の料金所があることが大事だ。

マイナ保険証を使うといろんなメリットがある。いやだと言う人は資格確認書を使ってもらえる仕組みなので、日程通り保険証廃止をやらせていただきたい。

 

保団連

石破総理の「保険証との併用も選択肢」との発言について、平大臣は「全てデジタル化にするのは困る。不安があるので、アナログの選択肢も残す」という趣旨の発言だと言われた。アナログの手段として「資格確認書を用意している。デジタルとアナログを両方選択できる」と言われたが、そうであれば健康保険証を廃止するのではなくて、残せばいいのではないか。

平大臣

台湾の事例も紹介したが、デジタル化は世界どこでも避けて通れないし、いろんな分野で避けて通れない。ソリューションとしては保険証に顔写真とICチップを入れて、マイナンバーと併存させる方法か、マイナンバーカードに一体化するかどちらかだ。二重投資になるので、前者の選択肢はないと思う。マイナンバーカードと保険証の一体型のマイナ保険証を進めていくべきだ。保険証にはICチップも顔写真も入っていないので、悪用しようと思ったら、悪用できる仕組みに未だになっている。解決の処方箋を示していくことが重要だ。

保団連

二重投資(=コストが二重にかかる)と言われたが、マイナ免許証は、免許証を残した形での「選択制」となっている。一方、健康保険証は全員加入しなくてはならない義務制なのにマイナ保険証と健康保険証の選択制になってない。非常に大きな矛盾だ。「選択制」というならば免許証のように健康保険証を残して真に選択できるようにした方が良い。むしろデジタル化進むのではないか。

保団連調査でマイナ保険証の利用率が少ないにも関わらず、5月以降に7割の医療機関でトラブル不具合が生じている。大半がデジタル以前の問題によるトラブルでデータベースの不備が原因である。顔認証ができないなどユーザーサイドのトラブルだけとは限らない。データが最新情報じゃないというトラブルが多い。8割の医療機関が保険証でトラブルを解決しているのが現状だ。

この現状を踏まえて、12月2日に健康保険証の新規発行を停止すると医療現場は大混乱に陥る。トラブルの実態についてどう思っているのか。

 

平大臣

デジタル化していくときは、ユーザーの不慣れによる不具合は出てくる。実装して運用する中で改善されていくし、利用者も慣れてくと思う。これは全てのDXの現場で言えることだ。スケジュール通り保険証廃止を進めていきたい。

デジタル化による利便性の向上もある。いわゆるビックデータで医療費全体を適正化していく、避難所でのチェックイン・アウトで利用できる。高齢者の方がお薬を支援できるなどメリットにも目を向けてほしい。

保団連

マイナ免許証は「免許証のみ」、「マイナ免許証のみ」、「その両方」の3つの選択肢がある。なぜ、健康保険証でもそういう対応ができなかったのか。そうした方が日本のデジタル化が進むのではないか。

 

平大臣

運転免許証との違いだが医療に係る社会保障全体の金額のボリューム感をぜひ頭に入れていただきたい。医療をデジタル化するメリットは桁違いだ。その辺は理解いただきたい。