「資格確認書全員交付は必要ない」 厚労省が都道府県に周知依頼(5月30日)

国保加入者全員に一律交付することを決めた渋谷区、世田谷区の動きを牽制するために、厚労省は、5月30日、都道府県に対して事務通知を出しました。

国民健康保険における資格確認書の取扱いについて(周知依頼)

通知では、「国民健康保険の被保険者には様々な年代・属性の方が含まれており、後期高齢者のように、新たな機器の取扱いに不慣れである等の理由で、マイナ保険証への移行に一定の期間を要する蓋然性が一般的に高いと言える状況ではなく、資格確認書を被保険者全員に職権交付するコスト等も考慮すると、全員一律に資格確認書を交付する状況ではない」との国の考えを示しました。

マイナ保険証のトラブル回避に向けて国保被保険者全員に一律交付すると判断した世田谷区と渋谷区の判断が現場の状況踏まえた対応と言えます。各市町村国保担当者へのヒアリングすら実施せず、「必要ない」「状況にない」と判断したのはマイナ保険証トラブルや自治体の窓口の混乱・手間を鑑みた対応と言えません。法令上も国保加入者への資格確認書の一律交付の権限はあくまで保険者である市町村にあります。国が一律交付を妨げる法的根拠はありません。不当な干渉は止めるべきです。

 

国保加入者全員に資格確認書を交付することについて(愛知県内の市町村)

(2025年5月/愛知県保険医協会聞き取り調査)
通知で、一律では送れないとなっているのでそうするしかない。担当者の間では、業務の負担にならないか懸念する声はある。本当は一律でやれた方がいい。リアルタイムでマイナ保険証登録の有無などが、システムに反映されるわけではないので、タイミングでよっては手間がかかると思う。
県下として通達が出れば倣うが、あまり国を刺激するようなことはしたくない。
が、現場の意見としてはかなり負担を伴う作業になるので、東京の取り組みが羨ましいし、効率的だと思う。
正直一律で送れるなら効率的だと思うし、そうしてほしい。
県下全自治体が一律送付を決めるくらいの勢いでないと難しいと感じる。
手続きに来る方の中には、自分がマイナ保険証登録をしているかどうか分かっていない方も多くいて、7月に混乱しないか心配。
後期高齢者が一律で資格確認書発行となったこともあり、同じ家庭でも個々人によって資格確認書と資格情報のお知らせが別々で届くことになる。そのため、窓口では相当にぎやかになると思っている。個人的にはそうした事態にならないように、今回の保険医協会さんの調査がオープンになって、改めて国から(一律資格確認書の発行)通知が出ると良いと思う。
もし周りの自治体で一律に送るところが増えれば、実施を検討すると思う。電子証明書の有効期限切れなどの問合せは多くある。
データの振り分けはNECに委託してるので、負担にはならいないが、情報反映の遅れで、マイナ保険証登録解除していて資格確認書を追加で送らないといけない場合があると思う。そこは手間がかかるかもしれない。