
6月6日の衆議院厚労委員会で日本共産党の田村貴昭議員が5月15日に発生した市立札幌病院のマイナ保険証トラブルを取り上げて厚労省に原因究明を求めました。
市立札幌病院は外来患者が1日で1000人の基幹病院です。トラブルで5月15日午後3時~翌16日午後4時までの25時間、マイナ保険証等によるオンライン資格確認システムへの接続ができなくなりました。その間は、オンラインでの資格確認が困難となり保険証などによる資格確認で対応を迫られました。トラブル発生時に病院側は公式X等で保険証持参を呼び掛けるなど対応に追われました。
鹿沼保険局長は、「従来の保険証で資格確認を行ったほか、保険証を持っていない患者に対しては、窓口で保険資格を証明するような書類を配布し記入をお願いした」と保険証持参を呼び掛けてトラブル対応したと報告しました。多くの国民健康保険では7月末で健康保険証の有効期限を迎えますが、マイナ保険証トラブルに見舞われたら医療現場は大変な混乱に陥ります。
田村議員は、「札幌市病院院局はトラブルの原因がWindows up dateによりオン資システムの回線認証が削除されたことと報告しており、全国的にトラブルが発生する可能性がある」と指摘し、厚労省に原因の調査と対策を求めました。
また、25年4月段階でマイナ保険証の利用率が国家公務員全体で3割にとどまっていることが判明しました。同月の国民全体の利用率は28%です。
(厚労省第一共済組合が33%、厚労省第二共催組合が29%)
衆議院厚労委員会(6月6日)
田村貴昭 議員
マイナ保険証の問題について質問します。5月15日、北海道市立札幌病院でマイナ保険証による資格確認ができなくなる事態が発生しました。午前8時過ぎから通信回線のトラブルが発生し、16日16時頃まで丸一日マイナ保険証による資格確認ができませんでした。このトラブルの原因は何であるか厚労省は承知していますか?
鹿沼保険局長
ご指摘の事象につきましては、顔認証カードリーダーの画面上にネットワークエラーと表示されて一定時間オンライン資格確認が行えなかったものと承知をしておりますが、医療機関に直接事実確認を行ったものではないので、直接の原因は正確なところは把握しておりません。その上で、当初から事務的に社会保険診療報酬支払基金などに確認したところでは、当時、社会保険診療報酬支払金より配信する資格確認端末これはウインドウズpcですけども、このアップデートを停止しており、自動でアップデートされる状況ではなかったと承知しており、仮にアップデートが原因だったとすれば、医療機関において手動で実施されたpc側の要因として考えられるというふうに承知しております。なお、あの報道によれば、さまざまな対応を行うことによって、大きな混乱にはつながらなかったというふうに報道されているのは承知しております。
田村貴昭 議員
札幌市病院局の市議会議員への説明では直接的な原因は、オンライン資格確認端末の回線認証が削除されていたとし、今答弁があったように、回線認証の削除はosウインドウズ11のアップグレード実施が原因と考えられるとしています。ウインドウズ11のアップグレードが原因ということであれば、これも日本全国どこでも起こり得るんじゃないですか?
鹿沼保険局長
お答えいたします。本事象につきましては、医療機関において手動で実施されたpcの更新が考えられる要因の1つとして考え上げられておりますが、いずれにしても医療機関に事実関係を確認できたものでなく、直接の原因についてはまだ把握はできていないと思っております。他方で、同時期に同様の事象でマイナ保険証が利用できなくなった医療機関があることは、同じ札幌市エリアを含めて他には確認されておらず、またコールセンターにも他の医療機関、紹介は寄せられていなかったというふうに承知しています。
いずれにしても、本事象が他の医療機関で起こりうるものと、現時点で判断できるものではないと考えておりますが、これまでも医療機関等で機器やネットワークの不具合等で、マイナ保険証の読み取りができない場合に、従来の保険証を確認する方法のほか、さまざまな方法を提示することにより、10割負担とすることなく、円滑に保険診療を受けられるようなこととしており、その旨については引き続き医療機関、国民向けを含めて周知徹底を図っていきたい。
田村貴昭 議員
事故対策じゃなくてシステムの問題なんですよね。こうした大きな病院で、終日本人確認が、できなかったということを、もうちょっと、重く受け止めるべきじゃないですか。厚労省や支払基金に報告が上がっていないから承知していないと、そういう態度はちょっと認められません。あの厚労省として調査する考えはないのか?
鹿沼保険局長
私どもとして直接、あの札幌の方の病院についてお伺いしているわけではございませんが、支払基金を通じて先ほどのような対応をしてきた。先ほどのようなことでお聞きしたところでございます。必要に応じて、そうした調査も含めて考えていきたいと思います。
田村貴昭 議員
全国保険医団体連合会によれば、ウインドウズのアップデートによって、認証情報が削除したという相談はあるって言うんですよ。調査ぐらいしたらどうですか?これ全国どこでも起こりうることを、市立札幌病院の経験は訴えています。市立札幌病院は672床の病院で、一日の外来患者は約1000人、入院は約500人になる大きな病院です。この日、影響があった人数は7人とされ、診療できなかった患者は存在していないとされています。終日オンライン資格確認ができなかったのに、診療に問題がなかったというのは、どうしてか分かりますか?
鹿沼保険局長
報道によれば、従来の保険証で資格確認を行ったほか、保険証を持っていない患者に対しては、窓口で保険資格を証明するような書類を配布し、記入をお願いしたというふうに承知しております。その上で、あのこれまでも医療機関等で、機器やネットワークの不具合等で、マイナ保険証を読み取りができない場合についての対応を、私どもも提示をしておりまして、従来の保険証で確認する方法のほかにも、マイナンバーカードとマイナポータルの資格情報画面を提示することのほか、再診の方は、過去の資格上の口頭確認、初診の方も医療機関にある資格申立書への記入により、10割負担をすることなく、円滑に保険診療を受けられることとしておりまして、その旨を示したリーフレットも作成し、医療機関・国民向けに周知しているところでございます。
いずれにいたしましても、マイナ保険証は本人の健康医療情報を活用した適切な医療の提供に大きく寄与するものであることから、利用促進を図っていくとともに、医療機関等で機器やネットワークの不具合等があった場合でも、患者が不利益を被ることがないよう、引き続き、医療機関等と、国民の皆様に丁寧な周知を行っていきたいと思っています。
田村貴昭 議員
ずっと不具合が起こってるじゃないですか。全国各地でこの瞬間にもトラブルが起こっていると思いますよ。ものすごい数ですからね。それで1本化していいんですか?病院が最新の患者さんの資格情報を、札幌病院は把握していたんですよ。そして、何よりも、患者さんの多くが従来からの保険証を持っていたから、診療に問題がなかった。これが真実なんですね。札幌市はトラブルの当日、xでマイナ保険証トラブルを伝えると同時に、保険証の持参を呼びかけたんです。そして、北海道放送もトラブルを伝えて、保険証によって対応していることを伝えたんですよね。これも功を奏して、実際診療に至らなかった人はいなかったって言うんですよ。自治体も保険証が必要だとしているんですよ。大臣、ここ一番大事なところなんですよね。これだけトラブルが続いてやっぱり保険証というのが大事だと大臣にお伺いします。国が廃止を決めた保険証が本人確認。本人の決め手となっているのは事実なんです。そして診療につながる重要な役割を果たしているんですけれども、大臣の受け止めいかがですか?
福岡厚労大臣
先ほど政府参考人からもお答えした通り、まああの、ネットワークの不具合などによって、マイナ保険証でオンライン資格確認ができない場合において、紙の保険証がなくても、マイナーマイナンバーカードと合わせて、資格情報のお知らせであったり、マイナポータル資格情報画面を提示する方法であったり、再診の場合は資格情報の口頭確認、初診の場合でも資格申立書を記載していただくことで、窓口で10割負担をすることなく受診を可能としておりまして、ご指摘のような不具合が発生した際にも、こうした方法で対応することができるものと考えております。従来通りの保険診療が確実に受けられるように、必要な対応を講じているところでございまして、マイナ保険証を安心してご利用いただけるように、引き続き医療機関であったり、国民の方々に丁寧な周知を行ってまいります。
田村貴昭 議員
トラブル続き、そして不具合だらけのマイナ保険証本人確認 国民が信頼を寄せていると言えますか?マイナ保険証の利用率直近で4月28.65%そうですよね。そしてマイナ保険証を登録し活用してくださいと言っている厚生労働省の職員の利用率は、厚労第一が33%、厚労第二が29%、そして国全体でも国家公務員公務員の共済で3割にとどまっている。そういうことでよろしいですね。
鹿沼保険局長
基本的には先生おっしゃった通りでございます。あの付け加えれば、厚生労働省第一共済組合の中の厚生労働省支部については39%です。
田村貴昭 議員
その程度なんですよ。利用率3割にも見ていない国民全体で、制度そのものに問題があって、そして行き詰まっていることの証左じゃないですか。医療機関も患者さんももう迷惑被っている保険証を取りに帰る二度手間もあるとね。この損失はね、多大なもんですよ。リアルな実態を資料でお配りしています。直近のマイナ保険証利用率は30%未満が7割、医療機関の9割でトラブルが発生しているトラブルへの対処法は健康。保険証で確認しているが8割、そして7割の医療機関が、保険証の復活を望んでいると言っているではありませんか。マイナ保険証の強制はやめて、健康保険証を存続させるべきです。少なくとも、当面、国保における資格確認書、資格確認書の全員送付など、万全の体制を講ずるべきだと思いますが答弁してください。
福岡厚労大臣
マイナ保険証については、何らかの事情で医療機関で使えない場合でも、マイナンバーカードと合わせて資格情報のお知らせであったり、マイナポータルの資格情報画面を提示することであったり、再診の場合は過去の資格情報の口頭確認、初診の場合でも、資格申し立て書を記載いただくことで、保険証であったり、資格確認書がなくても、窓口で10割負担をすることなく受診可能としておりまして、こうした扱いを医療機関であったり、国民の皆様方に周知しているところでございます。これらの対応を行った上で、あの切り替えに伴い、国民の皆様方から不安の声をいただいていることに対し、ましては最大1年間発行済みの保険証は使用でき、マイナ保険証をお持ちでない方には、申請によらず資格確認書を交付する。マイナ保険証をお持ちの要配慮者には、申請に基づき資格確認書を交付するといった措置を講じたほか、保険証の切り替えに伴いますマイナ保険証や資格確認書の利用の周知広報など、国民の皆様方に不利益が生じないように各種取り組みを行っているところでございます。あのいずれにしても混乱なく、そういった運用がなされるように、丁寧な周知を行ってまいります。