日本維新の会が提案する薬の保険除外リスト(4月17日時点)

2025年10月16日

全国保険医新聞5月25日号の1面記事抜粋して掲載しています

 

社会保障改革 自公維3党協議 維新がOTC類似薬の保険外しを要求

 4月17日に開かれた社会保障改革に関する自民党、公明党、日本維新の会の3党協議で、日本維新の会はOTC類似薬を保険給付から除外する具体的な薬剤名として28有効成分(薬剤費の合計は1543億円)を示しました。

日本維新の会は保険外とする医薬品として28有効成分をリストアップしました(表)。これらの医薬品は猪瀬直樹参院議員(維新)が基準として「OTC類似薬のうち、OTC医薬品と成分・1日最大用量が同じ医療用医薬品」を示し、厚労省医薬局に薬剤統計データから抽出させたものです。
薬剤費が多い上位3つは、皮膚保湿剤のヘパリン類似物質(544億円)、制酸剤の酸化マグネシウム(231億円)、アレルギー性疾患治療剤のフェキソフェナジン(203億円)など日常診療で広く処方されている薬剤で、患者への影響は甚大です。

維新 1兆円の保険給付外しを

28有効成分のリストからは、漢方などの単味ではない複合剤や一日最大容量がOTC薬(市販薬)を上回る薬剤「例:カロナール(解熱)やメジコン(咳止め)」は除外されていますが、今回示された基準に該当しないだけであり、日本維新の会はOTC類似薬の保険給付外しで最大1兆円の給付削減を目指しています。

高い市販薬購入で患者負担大幅増

28有効成分の薬剤を保険給付から外した場合、患者は治療に必要な薬剤を市販薬として購入せざるを得なくなります。さらに子ども医療費助成制度や国の難病公費医療なども助成対象外となります。同一有効成分の市販薬は医療用医薬品の薬価を大きく上回る傾向にあり、大幅な患者負担増・受診抑制を招くとともに、自己判断での市販薬の服薬による重症化も懸念されます。

「保険あって給付なし」許すな

4月23日の財政制度等審議会では財務省がOTC類似薬の保険外しの手法として新たな選定療養化を提案。処方薬を保険給付対象外とし全額自己負担化するものです。保団連は選定療養のなし崩し的な適用による保険給付外しに反対します。とりわけ医師の処方が必要なOTC類似薬の保険給付外しは、医師による診断、処方という医療行為そものを否定することに繋がりかねず、文字通り「保険あって給付なし」の状況を作り出し国民皆保険制度を形骸化させるものです。