受診行動の変化で給付費削減1070億円を予算計上しているのに… 厚労相「必要な受診の抑制は想定してない」 

2026年3月10日

3月10日の大臣記者会見で保団連は、高額療養費負担増に伴う受診抑制について質問しました。

高額療養費の自己負担限度額の引き上げにより、厚労省は、26年27年の2年間で実効給付率(医療費総額のうち医療保険制度から支払われる割合)が0.28%低下し、受診行動が変化する分として1,070億円の給付費削減を見込んでいます。一方で、上野厚労大臣は、3月6日の予算委員会で「受診抑制は見込んでいない」と答弁しました。3月10日の記者会見では、国会答弁との矛盾・整合性を指摘し大臣の見解をただしました。

上野大臣は、「年収200万円未満で課税対象となる方の多数回該当の金額を月額1万円引き下げるなど、特に治療にかかる経済的負担が厳しいと考えられる長期療養者や所得の低い方に十分配慮しており、必要な受診が抑制されるということは想定していない。」と受診抑制を明確に否定しました。その上で、「今回の見直しにより、最終的に実効給付率が約0.28%低下すると見込まれるため、これまでの制度改正の際に計算している方法と全く同じ方法で、実効給付率が変化した場合に経験的に得られている医療費の増減効果の算定式に機械的に数値を代入したところ、給付金の変化が約1070億円の減となっている。」と給付費削減を見込んでいる理由を説明しました。

「必要な受診が抑制がない」と断定しながら、制度見直しに伴う受診行動の変化として1070億円の給付費削減を予算計上するのは架空計上とも言えます。

保団連の制度利用者を対象にした調査では今回引き上げ対象となる年1回から3回の利用者においても受診抑制すると回答が得られており、「必要な受診が抑制されることは想定されない」との認識は希望的観測に過ぎません。

保団連は、「過去、長瀬効果の指数を使って75歳以上窓口2割化時は、実際その係数の通りに受診抑制する結果となった。 厚労省の係数は結構正確 だからこそ、今回の高額療養費の受診抑制の係数を見込むことは、実際に受診抑制が起こることを示唆している。必要な受診が妨げられることがないというのであれば、しっかり実態調査するべきだ。」と指摘しました。

また、受診行動の変化による給付費削減で、加入者一人当たりの保険料軽減額に関する保団連の質問に対して上野厚労大臣は、「この給付金の変化の全体の給付金の変化に対する割合を用いて単純に計算すると、加入者1人当たりの金額への影響は、保険者によって異るが、平均で1年当たり約600円となる。」と答弁しました。

上野大臣会見概要 |令和8年3月10日|大臣記者会見|厚生労働省

保団連

高額療養費制度の見直しについて、 3月6日の予算委員会で大臣は受診控えによる医療費減少は見込んでいない、受診控えということを前提に計算していないとご答弁された。 一方で、厚労省は高額療養費の限度額引き上げにより、26年27年の2年間で実効給付率が0.28%低下し、受診行動が変化する分として1,070億円の給付費削減を見込んでいる。3点お伺いする。 受診控えによる医療費減少を見込まずに、どのような方法で給付費削減を見込んでいるのか。 受診控えによる医療費減少を見込まないのであれば、予算を修正すべきではないか。 最後、受診行動の変化による給付費削減で、加入者一人当たりの保険料軽減額は年間でいくらか。 お伺いします。

上野厚労大臣

今回の見直しは、これまで高額療養費制度の対象とならなかった方であっても、新たに設定する年間上限によって自己負担が減少される、減少する方がおられる。また、年収200万円未満で課税対象となる方の多数回該当の金額を月額1万円引き下げるなど、特に治療にかかる経済的負担が厳しいと考えられる長期療養者や所得の低い方に十分配慮しており、必要な受診が抑制されることは想定していない。

その上で、今回の見直しにより、最終的に実効給付率が約0.28%低下すると見込まれるため、これまでの制度改正の際に計算している方法と全く同じ方法で。 実効給付率が変化した場合に経験的に得られている医療費の増減効果の算定式、これに機械的に数値を代入いたしましたところ、給付金の変化が約1070億円の減となっている。

また、この給付金の変化の全体の給付金の変化に対する割合を用いて単純に計算すると、加入者1人当たりの金額への影響は、保険者によって異なりますが、平均で1年当たり約600円となる。

保団連

今のご答弁だと、低所得、多数回の人は給付維持もしくは給付改善されるから必要な受診が抑制されないというご回答だったが、全国の患者会、患者さんが気にしているのが、今回引き上げになる660万人において機械的に受診抑制を見込んでいること、実際に受診抑制が起こるかもしれないことを懸念されている。それに対するご回答、お認めにならなかったというご理解でよろしいか。 受診控えという表現はともかく、今回限度額を引き上げて、給付金が1070億円削減されるから、これは紛れもなく受診抑制ですよね。  そのことを認めないのか。

上野厚労大臣

いずれにしても、係数上の整理としてこのような方式を取らせていただいている。長期療養者あるいは低所得者に十分配慮しているので、必要な受診が抑制されるということはないと考えている。  実際の受診行動がどういう影響、どういう影響があったかについては、当然これからも注視していかなければいけない。

保団連

過去、長瀬効果の指数を使って75歳以上窓口2割化時は、実際その係数の通りに受診抑制が発生した。 厚労省の係数は正確だ。  だから今回の高額療養費の受診抑制の係数を見込むことは、実際に受診抑制が起こることを示唆している。必要な受診が妨げられることがないというのであれば、しっかり実態調査されるべきだ。

上野厚労大臣

いずれにいたしましても、一定の算定式で計上しているが、やはり実際にそうしたことが起こるかどうかが非常に大事だ。我々としては十分配慮しているので、必要な医療が受診されない、抑制されるということはないと考えているが、結果的にどういう形であったかということは、実際の受診行動、どういう影響があったかは注視しなければいけない。