
保団連は3月13日の厚労大臣会見で高額療養費の見直しについて質問しました。
前回(3/10)の記者会見で上野大臣が「長期療養や低所得に配慮したので、必要な受診が抑制されることは想定していない」と答弁したことに、がん患者などから強い反発が起きています。保団連は、多くの患者が病気で就労制限を余儀なくされ、収入が減少するという実態を踏まえた自己負担上限額と支払余力との関係について影響調査を実施したかどうか質問しました。
上野大臣は、高額療養費制度の専門委員会で「延べ 20を超える様々な疾病所得の患者の医療費や治療頻度、また家計調査を基にした家計の収支状況の事例を事務局から示した上で、定量的なデータに基づく丁寧な議論をした」と説明し、「必要な受診が抑制されることは想定していない」と述べました。療養期間が短い方に関しては、これまでの制度改正の事例として、後期高齢者の窓口負担2割化の際や平成29年、30年の外来特例の負担上限引き上げの事例を持ち出し、受療率に変化はないと述べました。焦点となっている現役世代の月額上限の引き上げによる必要な受診の抑制については言及していません。
また、大臣は、「様々なケースを前提に検討した」「受診行動の変化は、事後検証は重要」と繰り返しました。
「収入減少のケース」を検証したか答弁できず
治療後に収入が減少した場合の支払い余力に関する影響調査を実施したかは答弁できませんでした。
保団連の患者影響調査では約半数が収入が減ったと回答しており、収入減少幅は年収200万円から770万円の各所得区分で約3割の収入減少でした。 収入が減って支払いが困難になり、受診抑制が生じることは明らかです。厚労省が、収入が減らない前提のシミュレーションをいくら駆使しても、患者の治療や家計の実態と大きな乖離があると言わざるを得ません。
上野厚労大臣は、受診抑制を「想定していない」のではなく、「検討していない」のではないか。疑いが強くなりました。
上野大臣会見概要 |令和8年3月13日|大臣記者会見|厚生労働省
保団連
高額療養費制度についてお伺いします。前回の記者会見で大臣から、「長期療養や低所得に配慮したので、必要な受診抑制は想定していない」とのご答弁をいただきました。 同じ 3月10日の衆議院予算委員会公聴会で、全関連の天野慎介理事長が、治療後に約3割の所得減少となる場合の支払い能力に対する自己負担上限割合は、ほぼ全ての所得階層で WHO基準の破滅的医療支出、括弧 40%を超えたことを報告されました。
高額療養費制度の専門委員会で、治療後に収入が減少した場合の支払い余力に関する影響調査やシミュレーションが実施されましたでしょうか。 また、それにそれを基にして必要な受診抑制が想定されるか否かの検討はされましたでしょうか。
上野厚労大臣
ご指摘のあった報告については、具体的な計算方法などを承知していないので、そのこと自体に対するコメントは差し控えたいと思いますが、長期にわたって治療を受けられる方にとって経済的負担が大きな課題となっていることに対するご示唆だと受け止めている。
それぞれの患者の方が置かれた状況、具体的には病気の状態であったり、世代構成や、あるいは就労の有無、預貯金の状況など、本当に様々であろうと思うので、全てのケースを網羅した事例をお示しすることは現実的には難しいと考えている。
多様な実態であるという認識に基づいて、患者団体の方が方もご参画いただいた専門委員会において、延べ 20を超える様々な疾病・所得の患者の医療費や治療頻度、また家計調査を基にした家計の収支状況の事例を事務局から示した上で、定量的なデータに基づく丁寧な議論を行ってきました。
このような議論を重ねた上で、専門委員会で考え方を整理いただき、今回の見直しでは新たに年間上限を創設することで、今まで制度の対象にならなかった方も制度の対象になり得るようにするとともに、年収200万円未満の低所得世帯の方の年間上限の金額を引き下げるなど、特に治療にかかる経済的負担が厳しいと考えられる長期療養者や低所得者に十分に配慮した見直しを図るとしています。必要な受診が抑制されるということは想定していません。
他方で、療養期間が短い方に関しては、一人当たり医療費の伸びに合わせた月額上限額の見直しを行うとともに、外来特例に関しても上限額の見直しを行うこととしているが、これまでの制度改正において、例えば一定以上の所得をお持ちの後期高齢者の窓口負担割合を 1割から2割に引き上げた際には、平均的な受診日数が減少している。その一方で、平成 29年、30年に外来特例の負担上限額を引き上げた際には、マクロベースでの受療率に変化はみられなかったというデータが確認されている。
いずれにしても、今回の見直しが長期療養者や低所得者の方々も含め、実際の受診行動にどういう影響があるかを検証していくことも重要であると考えている。今後注視していきたい。
保団連
配慮されていない方、上限が引き上げになる方の所得が病気によって、働けなくなり減少した場合の試算は、厚労省としてされていないという確認でよろしいか。明確に答えてください。厚労省からは、されていないと聞いています。
上野厚労大臣
様々なケースを前提に想定して議論いただいている。
保団連
がんになって入院したりとか手術したりして、やはり数ヶ月間は仕事ができなくなってしまう。 当会の調査でも半数ぐらい収入が減ったと回答しており、収入入が3割減少している。 収入が減って支払いがきつくなるから大変だと患者側は訴えているわけだから、収入が減ってない状態のシミュレーションしてもらっても、実態との乖離がある。前回想定していないと言われたが、「検討していない」なんですよ、回答としては。それははっきり言ってください。 検討していないけど引き上げをするということを明確にしてください。
上野厚労大臣
様々なケースを前提にしてご議論をいただいたと考えている。受診行動の変化は、事後的な検証が必要だと考えているので、今回の見直しによる影響は注視していきたい。
保団連
検討していないですよね。
上野厚労大臣
様々なケースに含まれているかどうかというのは、すいませんが、事務方にて再度ご確認いただければと思います。


