【声明】高額療養費の負担増を含む2026年度予算案の参議院採決に抗議します
2026年4月7日
全国保険医団体連合会
会長 竹田 智雄
政府は高額療養費制度の自己負担限度額引き上げを盛り込んだ2026年度予算案について、4月7日、参議院本会議での採決を強行しました。収入減による受診抑制を考慮・検討せず、患者団体が不同意の意思を示す中で負担増を決めたことは、「患者切り捨て」そのものです。予算案の採決強行に強く抗議するとともに、あらためて高額療養費制度の見直しは白紙撤回することを強く求めます。
約660万人が負担増でセーフティネットは弱体化
高市首相や上野厚労大臣は、今回の見直しは制度全体の持続可能性の確保と、長期療養者や低所得者へのセーフティネット機能の強化を図る観点から行うものと繰り返し答弁しています。厚労省は、多数回該当の限度額維持や現役世代への年間上限額の新設、年収200万円未満の課税世帯への配慮をもって「セーフティネットを強化した」と強調していますが、新設される「年間上限」の対象者は約50万人と一部にとどまります。
その一方で「持続可能性を維持する」として、低所得者も含めてすべての所得区分で負担増を行い、年収650万~770万円の所得区分では現行の限度額8万100円から2年後には11万400円と約3万円(38%)も増加します。負担増となる制度利用者(年1~3回の制度利用者)は最大で約660万人と、全利用者(823万人※外来特例除く)の約8割に及びます。
厚労省の財政試算では給付削減額2990億円に対し、給付増額は540億円にとどまります。削減額が増額分より約5.5倍も多く、セーフティネットは「機能強化」どころか「弱体化」します。
患者団体も引き上げに不同意
厚労省は、「今回の見直しに伴う受診行動の変化」として1070億円の給付削減を見込み、予算に盛り込んでいます。保団連が実施した患者調査では治療に伴い約半数が収入減となり、年収200万~770万円の各所得区分で収入が約3割減少しました。
参議院の審議では、患者団体が政府の引き上げ案に不同意の意思を示しました。厚労省は専門委員会で患者の収入減による影響を検討していないこと、教育費を家計負担として考慮していないことが明らかになりました。必要な検討を行わないまま結論ありきで患者に負担増を強いるものです。
保険料軽減は年間約1400円、月約117円
衆議院予算委員会(3月6日)の質疑で上野大臣は、高額療養費の限度額引き上げ(負担増)に伴う保険料軽減効果について「加入者一人当たり年約1400円」と答弁しました。月にすると約117円と保険料軽減効果もわずかです。わずかな保険料軽減と引き換えに、患者の命・健康が犠牲になることは、到底容認することはできません。
経済的破綻といのちの危機をまねく高額療養費制度の自己負担限度額引き上げは、白紙撤回することを強く求めます。


