2026年4月30日
全国保険医団体連合会
非核平和担当副会長 天谷静雄
政府は4月21日、国家安全保障会議および閣議において、「防衛装備移転三原則」およびその運用指針を改定し、防衛装備品の輸出を「救難・輸送・警戒・監視・掃海」の非戦闘目的に限定してきた、いわゆる「5類型」を撤廃した。これにより、戦闘機・護衛艦・ミサイル等の殺傷能力を有する武器の海外移転が原則として可能となり、かつ「特段の事情」を理由とする戦闘継続中の国への移転にも例外が認められることとなった。
保団連は、1989年第27回総会で採択した「開業医宣言」第10項「平和の希求」において、「人命を守る医師はいかなる戦争も容認できない。私たちは歴史の教訓に学び、憲法の理念を体して平和を脅かす動きに対し、核戦争の防止と核兵器廃絶が現代に生きる医師の社会的責任であることを確認する」ことを内外に宣言してきた。日本製の武器が国際紛争を助長し、他国の市民や兵士の生命を奪うこととなる今回の決定は、まさに「平和を脅かす動き」にほかならず、人命を守ることを使命とする医師・歯科医師の団体として、今回の決定を断じて認めることはできない。
私たちは安保法制の国会審議に先立つ2015年2月に「軍事優先、自衛隊派遣ではなく平和主義に立脚した外交努力を求める」との談話を発表し、「集団的自衛権の行使と武器輸出解禁」への動きを「平和主義の放棄に等しく外交上の重大な政策変更である」と批判してきた。今回の決定は、その当時から私たちが批判してきた一連の有事・安保法制強化の流れの中にあるものであり、日本の平和主義を大きく後退させるものである。
また、戦闘が現に行われている国への武器輸出についても、「特段の事情」を理由に例外を認める仕組みは、その判断基準が抽象的で具体性を欠いている。これは事実上、政府の裁量によって紛争当事国への武器移転を可能にするものであり、日本が他国の戦争に国民が知らないまま加担する道を開くものである。さらに、武器輸出の可否を国家安全保障会議および閣議決定のみで判断し、国会の事前承認を経ずに事後通知にとどめる仕組みは、立法府を実質的に蚊帳の外に置くものであり、立憲主義と議会制民主主義の理念に反する。
政府は、防衛産業基盤の強化を今回の改定理由として説明しているが、「武器輸出による産業振興」は、本来は国民の暮らしと健康に向けられるべき財源と資源を軍事分野へ振り向けることに繋がり、社会保障をさらに弱体化させる。
本会は、政府に対し、防衛装備移転三原則および運用指針の改定を撤回し、戦後日本が国是として築き上げてきた「武器を売らない国」という平和国家の到達点を、国会の事前承認を経ない閣議決定のみで根本から変質させたことに強く抗議し、その撤回を求める。
以上


