
生活保護基準引き下げ処分の取り消しを求める「いのちのとりで裁判」。前号では原告が違憲訴訟を起こし、最高裁が処分を取り消した経緯を紹介した。今回は、新たに始まった行政不服審査請求の運動について、いのちのとりで裁判全国アクションの田川英信さんに話を聞いた。
「いのちのとりで裁判」新たな闘いへ
2013年からの保護基準引き下げ処分を争った裁判で、最高裁は処分を違法とし、これを取り消すとの原告勝訴判決を出しました。それを受けて、原告だけでなく、非原告も含めた生活保護利用者に対し、補償としての追加支給が始まっています。
追加給付の対象者は
訴訟で係争していた生活費については13年8月から18年9月の間の生活保護利用者、さらに加算等については13年8月から26年3月までの間の生活保護利用者(廃止されている方を含む)が対象となります。
補償の範囲は
保護基準の定め方が違法だとして、最高裁が引き下げ処分を取り消したため、原告には旧基準との差額の支払い請求権があります。
ところが、厚労省は、「物価下落」を理由とした4・78%の引き下げは違法とされたが、別の理由で下げることはできると判断し、消費が低迷したことにより13年に遡って新たに2・49%も保護基準を引き下げるという異例の対応をとりました。これにより、旧基準との差額ではなく、約半分程度に補償が減らされたのです。
ただし、原告にだけは旧基準との差額について、国から「特別給付金」という名目で贈与することになっています。
なぜ審査請求が必要なのか
現在、生活保護を利用中であれば、自治体が職権で追加支給の決定をします。補償が半分に減らされたことに不服があっても、直ちに提訴することはできません。その前に、必ず「行政不服審査請求」を出し、それが棄却、却下されて初めて提訴できます。審査請求は、処分があったことを知った日から3カ月以内にする必要があります。
生活保護が廃止になっている場合は、廃止されている自治体への申し出と必要書類(官公署発行の顔写真付きの証明書、戸籍謄本、保護歴などを詳細に記載したもの等)が、追加支給のためには必要です。
その申し出のためには自分が補償の対象になっていることを理解していないとできません。ところが、広報が十分ではなく、補償から漏れる可能性があります。
一刻も早い解決が 求められる
実は、1020人を超える原告のうち、昨年6月の最高裁判決までに253人、判決後にも25人が死亡しています。政府は、補償の決定までに死亡した方については一切の補償をしない、としています。そのため一刻も早く、原告が亡くならないうちの解決が求められています。しかし、国は今も各地の訴訟を争っています。
追加給付額が半分に値切られたことに対し、提訴も視野に入れた闘いは続きます。情報の周知など、人間の尊厳を取り戻す闘いにご理解ご協力をお願いいたします。



