
8月からの高額療養費「値上げ」に関する省令・政令に関するパブリックコメントに5000件超の反対意見が寄せられました。7月31日の厚労大臣記者会見でパブコメに寄せられた多くの反対意見を踏まえ大臣に引き上げ凍結を迫りました。
専門委員会の「合意」を盾に引き上げ凍結を否定
保団連は「5,000件を超える意見が寄せられ、大半が反対意見でした。厚労省は質問に対し、具体的な回答を避け「ご理解ください」と繰り返し、結論を押し付けるだけの回答ばかり」と指摘し、「大臣裁量で凍結可能。国民の意見を踏まえて引き上げを凍結しないのか」と質問。上野厚労相は、「パブコメに多くの意見が寄せられた。高額療養費制度を将来に引き継いでいく必要性を専門委員会でも全ての委員の認識が一致しており、今回の見直しはこうした多くの関係者と議論を進めた上で行うものだ」「 特に療養期間が短期の方にとっては追加で負担いただくことは事実だが、様々なご意見があることは承知しているが、年間年間上限の創設など、長期療養者や低所得者のセーフティネット機能を強化するという今回の見直しの趣旨や内容について、引き続き分かりやすく丁寧に進めさせていただきたい。」と引き上げ凍結を否定しました。
丁寧な説明という点について、保団連は「厚労省作成のチラシには、「持続可能性確保のため上限額が変わります」と記載しているが、値上げ幅、負担増となる対象人数、保険料軽減額など制度変更の妥当性を検証するに足る説明や記載は見当たらない」と指摘し、具体的な値上げ額、対象人数、保険料軽減額等について聞いたが、上野厚労相は「高額療養費制度の概要や様々なデータ等は、厚労省のホームページに資料を掲載している」と述べ、見直しの必要に関する根拠等への言及は避けました。
当事者の意見が反映されていない制度見直し
パブコメでは、「当事者の意見が十分に反映されているとは思えない」との意見が上がりました。これに対する厚労省の考え方は「患者団体も参加する専門委員会で様々な事例を含む資料を示し、議論を重ねた」というものですが、委員会では具体的な負担額見直し案は示されないまま議論をまとめています。影響の検証は極めて限定的な事例にとどまり、現役世代の制度利用者の多くが教育費への影響を心配しているにもかかわらず、必須経費として教育費は控除されず、治療に伴う所得減少の現実も踏まえていません。委員会に参加した全国がん患者団体連合会は「患者団体が専門委員会で議論したことが、むしろ免罪府に利用されているようにも見える」と批判しています。
改正健保法の付帯決議では、将来の見直しの際は家計への影響を考慮し、教育費や収入変動等に留意することが盛り込まれていますが、政府の一連の不誠実な対応を見れば、今回と同様に、文字通り「心に留める」のみになるのではないかと危惧します。 経済的破綻といのちの危機をまねく高額療養費制度の自己負担限度額引き上げは凍結を強く求めます。
保団連
高額療養費危険に関する政令・省令案のパブコメに 5,000件を超える意見が寄せられ、大半が反対意見でした。厚労省は質問に対し、具体的な回答を避け「ご理解ください」と繰り返し、結論を押し付けるだけの回答ばかりでした。 政令、省令は法令上、大臣裁量で凍結可能であり、予備費を活用すれば予算上も問題が生じない。国民の意見を踏まえて引き上げを凍結しないのか。
厚労省作成のチラシには「持続可能性確保のため上限が変わります」と記載しているが、制度変更の妥当性を検証するに足りる説明や根拠が見当たりません。 月額上限の引き上げ対象人数、年間上限の対象人数、 370万から 770万円の中低所得層の月額上限の引き上げ額と年収370万円までの外来特例の引き上げ額をご回答ください。 また、パブコメの意見に対して厚労省は「保険料軽減効果は月額 数百」と回答したが、加入者一人当たりの月額・年額の保険料軽減効果をそれぞれ回答ください。
上野厚労大臣
政令改正に当たり実施したパブリックコメントに多くの意見をいただいた。高額療養費制度を将来に引き継いでいくことの必要性は専門委員会でも全ての委員の認識が一致しており、今回の見直しはこうした多くの関係者と議論を進めた上で行うものだ。 特に療養期間が短期の方にとっては追加で負担いただくことは事実だが、様々なご意見があることは承知しているが、年間年間上限の創設など、長期療養者や低所得者のセーフティネット機能を強化するという今回の見直しの趣旨や内容について、引き続き分かりやすく丁寧に進めさせていただきたい。また、リーフレットは見直しの趣旨や内容をわかりやすく伝える観点から、改正のポイントを簡潔にお示しすることを狙いとしている。 その上で対象人数等だが、現在、多数回該当に当たる方の負担は増えない、あるいは年間上限の創設によって非常に高額な医療にかかっており、年1回から3回の高額療養費に該当しなくても負担が下がる方もおられることから、単純に負担が増加する患者と負担が減少する患者の人数を答えるのはなかなか難しい。 また、年収370万円から770万円の負担額の変化や外来特例の負担限度額の見直しでは、 今回の制度の見直しによって結果的に生じる保険料軽減効果等をはじめ、高額療養費制度の概要や様々なデータ等は、厚労省のホームページに資料を掲載している。 ちなみに年収370万円から770万円については、本年8月から月額8万100円が8万5800円になる。


