【要望書】 政府・厚生労働省としてセキュリティ対策の強化を求める

※保団連は、5月23日に厚生労働省に下記要望書を提出しました。PDF版はこちら

 

2022年5月23日

厚生労働大臣 後藤 茂之 殿

全国保険医団体連合会

会長 住江 憲勇

 

医科・歯科医療機関等のサイバーセキュリティ対策に対する公的補助金創設など

政府・厚生労働省としてセキュリティ対策の強化を求める要望書

前略 国民医療の確保に関するご尽力に敬意を表します。

さて、昨今、複数の病院で電子カルテ等のシステムがランサムウェアに感染し、診療に大きな影響が発生しました。

医療機関のサイバーセキュリティは、内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)が指定する重要インフラに位置付けられ、一般的なセキュリティ以上の対策が求められています。

2022年4月診療報酬改定では、診療録管理体制加算の施設基準において、許可病床数400床以上の病院に専任の医療情報システム安全管理責任者の配置と職員研修等を義務付けましたが、診療報酬上の加算評価はありません。

現在の診療報酬はこうしたセキュリティ対策に必要な費用を全く評価していませんが、そもそもこうしたセキュリティ対策は患者負担を伴う診療報酬で評価すべきではなく、公的資金を投入して実施すべきです。

医療機関は、国民の命と健康を守る砦です。また、サイバー攻撃は、病床の大きさや医療機関の種別を選ぶとは限らず、医科・歯科ともセキュリティ対策の強化が必要です。

国におかれては、セキュリティ対策の重要性に鑑み、公的補助金を創設し、診療の継続性・安全性を担保していただけますよう、強く要望いたします。

 

 

一.政府・厚生労働省は、公的・民間を問わず全ての医療機関等がサイバーセキュリティ対策を講じられるよう、公的補助金を創設すること。

一.医療機関等のサイバーセキュリティ対策を担う会社の質が確保できるよう、行政として必要な対策を行うこと。

一.サイバーセキュリティについて厚生労働省では、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」(第5.2版)本編106頁、別冊87頁、付表17頁、付録2頁、          別添管理者読本21頁、用語集12頁、Q&A41頁等を示されていますが、これを現場に当てはめて対策を進めようとすると非常にわかりにくくなっています。医療現場において対応がとりやすい様、一層のご尽力をお願いします。

一.政府・厚生労働省として、セキュリティ対策の一層の強化を図ること。

一.サイバー攻撃を受け、電子カルテや診療報酬請求システム等が損害を受けた場合は、概算請求を認めること。また、データ提出加算を含めた施設基準要件についても特例的な対応を行い、要件を満たすものとすること。