【要請書】オンライン請求システムの事故発生に対して厳格な対応を求める

保団連は、厚生労働大臣、厚生労働省保険局長、社会保険診療報酬支払基金理事長、国民健康保険中央会会長に要望書を提出しました。PDFはこちら

2022年6月27日

 

全国保険医団体連合会

会長 住江 憲勇

オンライン請求システムの事故発生に対して厳格な対応を求めるとともに、

医療機関等が安心して請求を完了できるよう求める

 

貴職の日頃からの国民医療確保へのご努力、ご尽力に敬意を表します。

去る5月9日、診療報酬のオンライン請求を実施している多くの医療機関から、「オンライン請求ができない」「つながらない」との問い合わせが全国の保険医協会、保険医会に多数寄せられました。6月1日に基金、国保連名で「オンライン請求システムへ接続しにくい事象が発生した件について(ご報告)」とのお詫び文書を発出しました。しかし今回の事態は全国的に起きた大きな事故ではないでしょうか。

そもそも、診療報酬の滞りない請求・支払いの保障は、審査・支払機関の成立の原点です。しかし、それまでの紙ベースが主流だったレセプト請求を、オンライン請求義務化(訴訟により撤回)を経てまでデジタル化請求(実質、オンライン請求が過半数を占める)を押し進めてきました。それから10年以上経ても、紙ベースとあまり変わらぬ請求・支払い方式で、医療機関側にほぼメリットは無く、一方で事務負担等を押しつけてきました。この間はデータヘルス改革の為のビッグデータ利活用として、無理なコード化を押しつけデータ提出の義務化を推進、審査支払機関改革と称して無理矢理基金、国保の統合を進めてきました。それらの影響とも考えられます。

基金、国保のシステム共同運用の中で事故が起きたと説明していますが、オンライン請求でシステムに不具合はつきものとでも思っているのでしょうか。いまだに政府・厚生労働省からのコメントや謝罪はありません。このような事態が発生したにもかかわらず、オンライン請求システムのインフラを活用した資格確認システムを見直すどころか、健康保険証を廃止してまでこのシステムを進める姿勢は看過できません。本来の審査・支払業務に責任をもって対応するよう政府・厚生労働省に厳に求めます。

またお詫び文書で報告された内容は、これだけの巨大なシステム運用に見合ったリスクマネジメントがされているのか極めて疑わしいものと言わざるを得ません。単なる個々の事象に対する対応ではなく、重大事故との認識を持ってしっかりとした事故原因の究明及び分析、それに基づく再発防止策を国民の前に明らかにするよう求めます。併せて、報告ではすべての医療機関が間違いなく請求を完了できたのかどうかが不明であること、仮に事故が発生しても医療機関が安心して請求を完了できるための柔軟な対応方法等も示すべきです。

以上のことから下記を要請します。

 

 

一、今回の事態を重大事故と認識し、事故原因の究明及び分析、再発防止策を明らかにし、事故が発生しても医療機関が安心して請求を完了できるための柔軟な対応方法等を示すよう求める