政府による「代執行訴訟」による辺野古新基地建設強行を断じて許さない

2023年10月20日

内閣総理大臣 岸田文雄殿

国土交通大臣 斉藤鉄夫殿

 

全国保険医団体連合会 会長 住江憲勇

 

政府による「代執行訴訟」による辺野古新基地建設強行を断じて許さない

沖縄県の辺野古への米軍新基地建設(「普天間飛行場代替施設建設事業」)をめぐり、10月5日、国は、国が県に代わって承認する「代執行」のための訴訟を福岡高裁那覇支部に提起した。9月4日の最高裁判決は、行政不服審査制度による国交相の是正指示を適法としただけで、沖縄県知事に設計変更申請を承認することを義務付けるものではないためである。

沖縄県知事は不承認の理由として▽国が計画している地盤改良工事は安全性に懸念がある▽絶滅危惧種ジュゴンをはじめ環境への影響が甚大である▽国は地盤改良を含めた埋め立て工事に9年かかるとしているが、不確実であり、「普天間飛行場の危険性の早期除去」につながらない―ことを挙げている。県側が提起してきたこのような疑問に、政府は応答する責任がある。

辺野古新基地建設に反対する沖縄県民の民意は今も変わることなく、2019 年2月の県民投票でも72%が辺野古埋立てに反対し、昨年までの過去3回の知事選挙でも県民の意思は一貫している。政府の行為は、私人が行政に対して異議を申し立てる為の制度を脱法的に用い、形骸化させた手続きを強行するものであり、反民主主義的と言わざるを得ない。地方自治の本旨に拠れば、県側との対話を拒否し、「粛々と」手続きを進めるべきであるという政府の姿勢は地方自治の否定そのものであり、国による代執行こそ違法と言うべきである。改めて、国が沖縄県を相手に代執行訴訟を提起したことに抗議する。

政府は、「世界で最も危険といわれる普天間飛行場の危険性を1日も早く除去すること」を強調するが、大浦湾側の埋め立ては事業完了まで少なくとも12年、あるいは見通し不明ともいわれており、住宅密集地域にある普天間飛行場を「世界で最も危険」と政府自らが認めながら、今後も見通しが立たない中で米軍の使用を容認し続けるのは、矛盾した態度である。

国土面積の0.6%の沖縄県に、米軍専用施設が面積比で70%も集中し、米軍人・軍属による刑法犯罪や米軍関係の航空機関連事故は後を絶たず、米軍基地周辺の水源や土壌から発がん性があるとされるPFASが検出されている。沖縄県民にこれ以上の基地負担を押しつけることは許されない。

全国保険医団体連合会は、国内の米軍専用施設の7割を沖縄に集中させ、負担を強いている現実に目を向け、沖縄県民の民意に連帯する。

私たち国民のいのちと健康を守ることを使命とする私たち医師・歯科医師は、政府に対し、「辺野古が唯一の解決策」との姿勢を改め、地方自治を否定するような国策の強要に反対するとともに、辺野古新基地建設を断念することを求める。