2026年5月25日
厚生労働大臣
上野 賢一郎 殿
全国保険医団体連合会
医科社保・審査対策部長 武田 浩一
通院・在宅精神療法の精神保健指定医以外の減算及び施設基準要件(注13)
の撤回を求める要請書
2026年度診療報酬改定で、通院・在宅精神療法の算定にあたり、精神保健指定医以外では、以下のアとイの施設基準を満たさなければ100分の60に減算となる規定が盛り込まれました。
| ア 令和8年5月31日時点において、精神医療に20年以上従事している。
イ 過去1年間に医療観察法対象者を診察している又は精神科医療に関する行政機関の業務(保健所又は児童相談所の嘱託医、障害支援区分の市町村の審査会委員、その他精神保健医療に関し行政機関に雇用、委託又は委嘱されて実施する業務)を行っている。 |
当該施設基準について、特に開業診療所では20年以上の従事期間や行政業務に就いている要件を満たすことが困難な医療機関も少なくありません。
通院・在宅精神療法は、精神科医の専門性を評価する基本的な点数であり、精神科医療機関による医療提供を支える土台とのなるものです。今回の大幅な引き下げにより閉院せざるを得ないとの声も多く寄せられており、患者が必要な精神医療を受ける機会を失いかねません。また、児童精神科医は多くが非指定医であり、自閉症スペクトラム障害、注意欠如・多動性障害、学習障害など幅広い児童の精神疾患を取り扱う児童精神科への影響は一層深刻です。
そもそも、精神保健指定医の資格は患者の「行動制限」や「措置入院」の判断など、主に病院への入院が必要な重症患者への対応を念頭においた資格であり、診療所が行う外来・在宅での精神療法に係る日常診療技能を評価したものではありません。当該資格の有無を、これほど大幅な減算の基準とすることは不合理と言わざるを得ません。
2025年5月12日の「精神保健医療福祉の今後の施策推進に関する検討会」では、初診待機日数の平均は20.9日であること、また同年12月5日の中医協では、精神疾患を有する患者数が、2017年(419.3万)から2023年(603万)にかけて183.7万人増加しており、患者の精神医療へのアクセス環境が経年的に悪化している点が示されています。
今回の4割減算の影響は、特に医療機関数が限られるような地方も含め、精神科医療機関の減少やそれによる待機日数の長期化など精神疾患患者の精神医療へのアクセスを致命的に悪化させるものと危惧しています。以下の項目について、早急な再改定を強く要請します。
【要請項目】
一、非精神保健指定医による通院・在宅精神療法に係る減算および施設基準要件(注13)を撤回してください。


