2026年5月28日
「一部保険外療養」創設で国民皆保険の根幹を破壊する
健康保険法等改正法案の参議院厚労委員会採決に抗議する
全国保険医団体連合会
会長 竹田 智雄
5月28日参議院厚労委員会で健康保険法等改正案が採決された。委員会採決に抗議するとともに法案の廃案を求める。
法解釈で対象を薬剤に限定
参議院では、「一部保険外療養」の適用対象が、薬剤に限定されるか療養の給付全体に拡大されるかの法解釈が焦点となった。
政府・厚労省は、5月21日、「法案第63条第2項第6号の規定だけを見ると、薬剤以外の療養の給付全般を対象にしている」との法解釈を示したが、その立法事実を説明できなかった。5月28日の審議で「薬剤のみを対象としたもの」と法解釈を修正した。
政府は、法解釈は修正したものの、法文修正そのものは否定している。そうであれば、法第63条第2項第6号の条文そのものを修正すべきである。
対象薬剤、負担割合の拡大に歯止めがない
27年3月から77成分・1100品目の医療用医薬品の薬剤費の25%が保険外となり追加負担が求められる。審議では、特別料金を徴収しない配慮対象の類型が示されたが、配慮されない患者は医師が診断・処方した医薬品ですら全額保険給付されないことになる。必要な医療は保険診療で給付することを前提にしてきた国民皆保険制度の理念から大きく逸脱する。
令和9年以降に対象範囲や負担割合を拡大していくことが昨年末の財務・厚労大臣の「大臣折衝事項」に明記されており、附則にも同趣旨の検討規定が盛り込まれている。上野賢一郎厚生労働大臣が「法制上、薬剤費全額を保険外として別途負担を求めることは可能」と答弁したように、今後、歯止めなく対象薬剤や負担割合が拡大していくことが強く懸念される。
年400円の保険料軽減と引き換えに現役世代も負担増に
政府は現役世代の保険料の軽減(上昇の抑制)や制度の持続可能性を法改正の趣旨としている。しかし、77成分1100品目の薬剤費を一部保険除外とする見直しに伴う医療費削減額は年間900億円(追加負担500億円、受診抑制400億円)であり、保険料軽減効果は加入者1人当たりわずか年400円(月33円)にすぎない。他方、受診したら、薬代の一部は保険が利かず追加負担となる。反対署名は約20万筆を超え、国会に提出された。院内集会では、難病患者から「物価高騰で生活や治療費の支払いが厳しくなる中で治療継続できるか不安」など切実な訴えがあった。患者の命や健康、生活を脅かし、国民皆保険制度の根幹を破壊する健保法等改正法案は廃案にすべきだ。


