【声明】病歴など要配慮個人情報の本人同意なき利活用に舵を切る 個人情報保護法「改悪法案」の廃案を求めます

2026年6月15日

2026年6月15日

 

病歴など要配慮個人情報の本人同意なき利活用に舵を切る

個人情報保護法「改悪法案」の廃案を求めます

 

全国保険医団体連合会

政策部長 中村洋一

 

「氏名や住所入りの病歴などの個人情報が本人の同意なく企業等に提供されるのでは」との強い懸念や不安が渦巻いています。

政府は、「AI活用にも資する円滑なデータ連携の促進(法改正趣旨)」を目的に個人情報保護法「改悪法案」を参議院で強引に成立させようとしています。IT業界、経団連などの経済界の強い要望を背景に、AI開発等で個人情報の利活用を推進するため、個人情報の「保護」から「利活用」に大きく舵を切るものです。法曹界や医療界からは個人情報保護法規制の後退に対する強い懸念が示されています。

要配慮個人情報とは本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要する個人情報です。しかし、改正法が成立すれば、AI開発など統計作成を目的とする場合、医療機関(個人情報取り扱い事業者)が保有する個人名入りの病歴など医療情報(要配慮個人情報)を、本人の同意がなくてもAI開発事業者などに提供できるようになります(法第30条の2第5項)。

保団連は、個人情報の第三者利用に関わる基本原則(本人同意)を遵守し、プロファイリング制限・禁止、個人識別禁止、忘れられる権利(データ削除・利用停止を求める権利)、アクセスログ通知(自己情報が使われる全ての場合の通知・確認制度)、罰則規定強化(委託・孫委託先に対する厳重罰の徹底、制裁金の強化)やデータ越境移転制限など自己情報コントロール権を具体化する措置を法制化することを求めてきました。

法改正で、特定の個人を識別可能とする情報が漏洩する危険や、個人情報に関する提供元と提供先(企業)との間の責任関係、医師の守秘義務違反が問われるのかなど不安や懸念が尽きません。プライバシーやセキュリティに関する体制確保が十分ではない民間事業者も含む個人情報取扱事業者に対して、要配慮個人情報の第三者提供を公表のみで認めることは極めて危険です。医師と患者の信頼関係が大きく損なわれることも懸念されます。個人情報保護法「改悪法案」の撤回、廃案を強く求めます。