口腔ケアで認知症予防へ“夢ある講演”

口腔ケアで認知症予防へ“夢ある講演”

 兵庫協会は4月16日、医科・歯科連携研究会として、「歯周病菌による炎症と認知症 研究最前線~医歯連携で認知症予防を実現に~」を開催。九州大学大学院歯学研究院口腔機能分子科学分野・OBT研究センターの武洲准教授を講師とし、42人(うちオンライン31人)が参加した。当日の司会を務めた兵庫協会神戸支部幹事の川西敏雄氏の感想を紹介する。

歯科と認知症の関係を解説する武氏

 

全国保険医新聞のインタビューで、武先生のことを知り、ぜひ直接お話をうかがいたいと本研究会を企画した。
インタビューをされた杉山正隆・保団連新聞部長(福岡歯科保険医協会副会長)に座長をお願いし、当日の質疑応答など見事に進行していただいた。
武先生からご講演の冒頭で、介護が必要となる原因の一位は認知症であること、認知症の約7割はアルツハイマー型認知症(以下:AD)であると紹介があった。
講演内容は3点に概要され、①炎症とAD、②歯周病菌のADへの関与のメカニズム、③認知症予防への総合的考察だった。
われわれ歯科医師は、歯周病ないしは口腔病変が全身に悪影響を与えているということを体験的に感じていた。武先生は、歯周病とアルツハイマー病とのかかわりについて、動物実験などによるエビデンスを通して体系的に説明された初めての研究者であろう。
今後、研究を継続しながら、認知症予防対策としての口腔ケアの重要性について、一般の人々への啓発にも努めたいと発言された。
また、杉山先生は、豊富な知識に裏打ちされた運営をもって、研究会を盛り立てていただいた。タイトルの「夢ある講演」は杉山先生のお言葉である。「コロナ禍」、「歯科医業の沈滞」などなど暗い話題が多い中、素晴らしいエポックの到来を感じたと述べられた。
武先生は最後、質疑応答の内容も受け、さらにバージョンアップして、また神戸に来たいと述べられていた。
当日参加された全ての方々にお礼を申し上げて感想文とさせていただく。(兵庫保険医新聞より転載)