誰でも気になる「痔の話」

チクバ外科・胃腸科・肛門科病院名誉院長 瀧上隆夫氏

 岡山協会は6月5日、第333回となるプライマリケア懇話会を会場とZoomによるハイブリッド形式で開催。「誰でも気になる『痔の話』~気後れが手遅れを招かないように~」のテーマで、チクバ外科・胃腸科・肛門科病院名誉院長の瀧上隆夫氏(写真)が講演した。概要を紹介する。

肛門診療は、かつては医療の谷間にあったが、現在はエビデンスに基づいた治療が行われている。それでも専門医への受診の敷居は高く、患者の「恥ずかしい、痛い、すぐ切られる」というネガティブなイメージが強く、望む治療と診療所見にズレがあることもあるが、訴えによく耳を傾け、重大な疾患が隠れていないかを常に念頭に置き、フォローすることが大切である。
肛門疾患の診断方法には、指診、触診、努責診、内視鏡検査や画像診断も用いるが最も重要な診断法は肛門指診である。
気後れが手遅れに
三大疾患は、「痔核」、「痔瘻」、「裂肛」で疾患全体の8~9割を占めるが、なかには、「Fournier,s Syndrome」や「悪性腫瘍」など生命に危険を及ぼす特殊な疾患が潜んでいるケースもあるほか、肛門疾患は特に高齢者でQOLをかなり低下させている。肛門を長く患っている患者で、「痔が悪くなった」と思って受診されると大腸疾病の悪化がみられる。大腸疾患を診るには肛門を診る・知ることが大切で、肛門症状の訴えには、「恥ずかしいから」という気後れが手遅れを招かないように、年齢を問わず、必ず専門医受診、精査を薦めていただきたい。