♯いのちまもる 現場から

♯いのちまもる 現場から

「犠牲の上に立つ医療は続かない」

 「#いのちまもる 医療・社会保障を立て直せ!10・20総行動」(10月20日、東京都内)では、医療・介護・福祉を支えるさまざまな現場や、負担増の当事者がリレートークした。内容を紹介する。

当事者らリレートーク

子どもの未来を守る保育充実を

福祉保育労神奈川県本部
松本恵美子氏
保育士の大幅な賃上げと増員を求めてきましたが、国は「予算がない」とはねのけてきました。旅行支援や戦闘機をポンと買うお金はあるのに、です。コロナ下、保育士はエッセンシャルワーカーとして耐えて社会を支えてきました。処遇改善加算の9000円ではまったく足りません。
現在の職員配置では、有給休暇や土曜保育の振替休日、自分や家族の病気で突発的な休みを取ることもできません。子どもの未来を守るため、保育士の処遇改善と増員を求めます。

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「史上最悪」の改定阻止を

ケアサポートセンター千住所長・ケアマネジャー
石田美恵氏
ケアマネジャーは制度のさまざまな制約と利用者の要望の間に挟まれて苦しんでいます。全国的に不足していますが、なり手がいません。
今、ケアプランの有料化や、利用者負担原則2割化、要介護1・2の保険外しという「史上最悪の改悪」が行われようとしていますが、知らない人も多いのが現状です。このままでは、介護サービスを利用できない人が増えるでしょう。利用者の生活と健康を守る専門職として、この動きを止めたいと思います。

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夜勤月16回も

全国労災病院労働組合大阪支部・看護師
新熊桃子氏
コロナ禍で、医療従事者も多数の感染者が出ました。看護師が1人でも欠ければ現場が回らないため、休みも休憩も取れず、夜勤も月9~10回、ひどい場合は16回という人もいました。余裕がなく、いつか大きなミスをするのではないかと不安の中で退職者も増えています。
誰かの犠牲の上に成り立つ医療では続きません。病院で働く人の増員と、そのための賃上げが不可欠です。

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命軽視と科学無視のコロナ対策

新医協副会長・保健師
田村道子氏
1992年に全国で852カ所あった保健所は、2022年には468カ所に半減し、業務がパンクすると、政府は「全数調査をしなくていい」と決めました。器に合わせてサービスを縮小していいのでしょうか。
政府は人の命を大切にせず、コロナ対策も検査・診断・治療の原則が損なわれ、科学を無視しているように思います。公衆衛生をないがしろにする政府は、憲法25条に違反しています。国民の命を守るため、一緒に頑張っていきましょう。

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年寄りをいじめるな

東京高齢期運動連絡会事務局次長
早川明好氏
81歳で、2カ月に1回病院に通っていますが、昨日、受診したら2割化で診療費も薬代も上がっていました。
なぜこんなに年寄りをいじめるのでしょうか。
年金者組合の調査では、高齢者窓口負担2倍化で、3割の人が「受診を控える」と答えています。これは、不要な受診をやめるというのでは決してありません。
「元気な年寄りが病院にいる」とか「世代間の公平のため」とか、政府のうそとごまかしにだまされてはいけません。