693医院で負担割合の誤り

マイナトラブル 国の責任で全容解明を

 マイナ保険証やオンライン資格確認を利用した医療機関で、健康保険証と異なる負担割合が表示されたケースが少なくとも32都道府県、693医療機関で確認された。保団連は、厚労省に全容把握と原因究明、再発防止を強く要請している。

保団連は7月に第2弾マイナ保険証・オンライン資格確認のトラブル調査を実施し、8月8日までに33都道府県・5055医療機関から回答が寄せられた。そのうち、32都道府県693医療機関で健康保険証の券面と異なる窓口負担割合が表示されたケースがあった。8月23日に記者会見し、マスコミに公表した(写真は9日の記者会見)。調査は8月末まで実施し、9月中旬に最終報告する。

窓口負担過不足で患者クレーム

調査では、「健康保険証では負担割合が2割なのにマイナ保険証では3割と表示された」「本来は1割なのに2割と表示」などの誤表記で新たに保険者への確認業務が必要となるケースや、一部負担金の過不足が生じ患者クレームにつながるケースも報告された。異なる窓口負担割合で保険請求したことによるレセプト返戻も生じている。
今回の調査で、32都道府県・272市区町村で窓口負担割合の誤りが報告されており、全国的にトラブルが生じていることが分かった。誤りの原因は、保険者の登録ミスやシステム仕様による誤登録、レセコンの仕様で負担割合を正しく読み込まないケースも確認されている。患者・医療機関での実態調査だけではトラブルの解決は困難である。

政府の総点検項目に追加を要求

保団連は、7月26日に厚労省保険局国保課へ要請を実施し、▽トラブル防止策として健康保険証を残すこと▽患者・国民に健康保険証の持参を広く呼びかけること▽国の責任で全容把握と原因解明、再発防止策を構築すること▽トラブル解決までシステムを一旦停止すること―を強く求めた。政府が進めている総点検の項目に窓口負担割合の誤りも追加することを求めていく。

紐づけミスは氷山の一角

政府のマイナンバー情報総点検本部は、8月8日、異なる個人番号が登録された事例が新たに1069件確認され、そのうち5件で薬剤情報等が閲覧されたと公表した。他人の医療情報が紐づけられた場合、機微性の高い医療情報がマイナポータル上で閲覧でき、画面の写真が出回れば削除・回収がほぼ不可能となる。
1069件は、いずれも医療機関に受診歴・処方歴がある患者のセンシティブな情報である。

点検対象は一部

しかも、点検対象として調査・報告したのは、全保険者の約4割に過ぎず、すべての被保険者を対象としたわけではないことも判明した。
保団連は、8月8日に声明を発出し、今回公表された誤登録は氷山の一角であり、すべての被保険者を対象とした全件チェックが完了するまでマイナ保険証を利用するオンライン資格確認システムの運用は停止することを求めた。