厚労省は7日の医療保険部会で医療保険者向け中間サーバーに登録されている1億6000万件の被保険者情報をJ-LIS(地方公共団体システム情報機構)の5情報を総チェックする方針を示しました。
保団連の第二弾トラブル調査では、医療機関でオンライン資格確認した際に表示される情報と健康保険証の券面表記とはかなりのずれが報告されています。特に多いのが「住所の不一致、未登録」、「カナ表記のゆれ」、「漢字氏名の●化」です。この状態で総チェックを行えば、「不一致」事例は膨大な数となり、医療保険者や事業所等での対応は困難となることは間違いありません。とりわけ大きな問題となるのが、漢字氏名の●問題です。
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なぜ●が表示されるのか中間サーバーにデータを登録する段階に起因することがわかりました。
発生原因
発生原因はJ-LISや市町村など住民記録が扱う漢字・住所などの文字コードと医療保険者向け中間サーバーが対応している文字コードが異なることから生じる「文字化け」です。保険者向け中間サーバーの登録マニュアル「保険者定義情報管理」に5-3に中間サーバー側で対応可能な文字コードが記載されています。
住民記録側の方が中間サーバーより幅広い文字コードに対応しているので外字・旧字・難しい漢字データを挿入するとエラーが出ますがエラーを防ぐために無害化として●が表記されます。市町村国保や後期高齢者医療保険広域連合などの保険者は住民記録データを元に被保険者情報を中間サーバー上に登録していますので●が発生します。
解決は可能か?
住民記録は日本語の漢字文化の多様性を認めているとも言えます。データベースをどちらかに整えればよいのか、そう単純な問題ではないと思います。そもそも文字コードに合わせることは至難の技です。システム仕様上の根本的な問題とも言えます。
オンライン資格確認システムを利用して医療機関のレセプトコンピュータ上に被保険者の氏名等で●表記が散見されています。医療機関の職員がその都度、打ちなおして保険請求などを行うことが強いられています。市町村国保などの保険者も元データが市町村の基幹システムが条例等で定められた文字(外字・旧字・難しい漢字)を使用しているため改善することは困難です。住民記録の文字コードに非対応の中間サーバー上では、市町村国保等が一括登録(CSV)する際に●が自動発生します。マニュアルでは、個別に文字コードを訂正することも可能とされていますが現実的ではありません。