●(黒丸)課題は未解決のまま運用開始

「●(黒丸)問題は厚労省はいつから認識していたのか?」「解決できなかったのか?」 医療現場からこんな疑問が出されています。

厚労省HPにて「オンライン資格確認等システムに関する運用等に係る検討結果について(令和3年4月)」が公開されています。これはマイナ保険証を起点とするオンライン資格確認システムを本格稼働する前に各課題を整理検討したものです。

医療機関でオンライン資格確認した際に、患者の漢字氏名が●(黒丸)で表示され保険請求などに支障が生じています。このエラーについて21年当時、どのように解決方策が検討されていたのでしょうか?

 

 

●(黒丸)が表記されることによる医療機関への影響について、厚労省は「医療機関窓⼝で⼊⼒した記号番号とオンライン資格確認システム上の情報が突合ができなくなり、医療機関窓⼝での資格確認が⾏えない。また、審査⽀払機関におけるレセプトの振り分けが⾏えない。」と問題が生じることを指摘していました。

では対応方針はどうなったのか?

結論的には、「保険者番号、カナ氏名、生年月日に●はないので個人の特定に支障なし」と結論づけられました。厚労省は、9月7日の医療保険部会で医療保険者向け中間サーバーに存在する1億6000万件の被保険者情報とJ-LIS(地方公共団体情報システム機構)が保有する住民記録の情報を5情報(カナ氏名、漢字氏名、性別、生年月日、住所)で突合する。「不一致」となれば保険者・事業所、被保険者本人に確認を求める方針を示しています。しかし、当時は、●が生じることを前提に「保険者番号、カナ氏名、生年月日は●はない」との理由でこの問題は不問とされています。運用を開始する以前から厚労省はこの事実を承知していたのです。

 

件名

被保険者記号の外字使用への対応

課題内容

市町村国保等の一部の制度において、被保険者記号に外字使用しているところが存在するため、中間サーバーで「●」として管理され、医療機関等による資格確認において「●」と表示されるなどの問題が想定されることから、医療機関窓口において資格確認に時間がかからないよう、対応策を整理する。

運用

一部の保険者において被保険者記号で外字の使用、中点、ハイフンの使用の判別が困難であることから、オンライン資格確認等システム側で 漢字や特殊文字を判別し、突合する 仕組みを設ける。
※被保険者記号に外字がない保険者は、氏名と住所に外字があっても、保険者番号、カナ氏名、生年月日には外字がない(●が表示されない)ことから、個人の特定に支障はないと想定。

 

資料

マイナトラブル ●はなぜ生じるのか? – 全国保険医団体連合会 

オンライン資格確認等システムに関する運用等に係る検討結果について(令和3年4月版)

オンライン資格確認等システムに関する運用等の整理案(概要)(令和元年6月版)