【薬剤保険外し】厚労省は年内目途に具体化 -多くの国民は『なぜだ?』「納得できない」(袖井孝子氏・高齢社会をよくする女性の会) 

「蟻の一穴」でなし崩し的に保険外しの懸念

11月29日に開催された社保審医療保険部会では、11月9日の部会に続き薬剤自己負担の見直しの議論が行われた。厚労省からは前回の議論を受けて、「具体的な手法としては、選定療養を活用する」ことを前提にした論点が示されました。提案ではこの間出されている意見も考慮した「医療上の必要性があると認められる場合については、選定療養とはしない」との案が示され、診療側も含めて了承する方向性となっています。ただし導入されれば、蟻の一穴となり、なし崩し的に保険給付外しと患者負担増が拡大される危険があります。

議論では「提案に驚いている。今まで保険でカバーされていたものが保険から外されることに多くの国民は『なぜだ?』となり納得できない。丁寧な説明が必要だ」(袖井孝子委員・NPO法人高齢社会をよくする女性の会副理事長)といった意見は一部出されましたが、制度導入に反対する意見はなく、診療側委員も現場の混乱を懸念する意見は述べましたが、概ね制度導入を了承する方向となっています。
会議後のブリーフィングで厚労省は、今後の進め方について、大枠の中身を医療保険部会で詰めて、具体的な取扱いについては、中医協の議論にゆだねると回答しました。またスケジュール感については、予算編成過程にかかわる話でもあるため、年内をめどに具体化を考えているとし、中医協においてもおおむね特に予算にかかわりうる部分については年内に固めていただくというのが、現段階で想定しているスケジュールだと回答しています。実施時期については今後検討すると述べた。また法改正については必要ないと考えているとし、省令か告示で行うか検討するとしました。

国会審議、パブコメもなく2カ月で導入をもくろむ

医療費一部負担金(3割)に加えて、新たに患者から選定療養という形で自己負担を徴収するという重大な制度変更を、国会審議やパブリックコメントに諮ることなく提案から2か月足らずで導入をもくろむ緊迫した情勢となっています。また導入されれば医療現場に多大な混乱をもたらすことは必至です。

保団連は患者・国民の健康や服薬管理に重大な影響を及ぼす薬剤自己負担、保険給付外しする制度導入を阻止しなければなりません。 急速にこの事実を知らせて患者・国民とともに国民皆保険制度を破壊する厚労省の提案に反対の声を広げていきます。

 

【11.30記者会見・厚労省要請】 「薬剤自己負担」「保険給付外し」は止めて 医療現場からの報告 – 全国保険医団体連合会 (doc-net.or.jp)

【声明】後発医薬品が不足する中での薬剤自己負担の見直しに反対する – 全国保険医団体連合会 (doc-net.or.jp)