【介護保険】訪問介護等の報酬引き下げで「サービス提供続けられない」

2024年介護報酬改定は「介護職員の処遇改善」が最大のテーマとなりました。しかし、介護報酬の引き上げ幅は1.59%しか確保されず、訪問介護等の基本報酬は引き下げられました。訪問介護事業者は小規模な事業所が多く、報酬引き下げは事業継続、人材確保に多大な影響を与えます。これまで通り訪問介護サービスが提供できるか利用者・家族も不安が広がっています。

 

黒字は大手のみ

訪問介護などの基本報酬引き下げを巡る審議会で、報酬引き下げの論拠として厚労省は「訪問介護の収益率は7.7%の黒字だ。」と引き下げを正当化しました。「介護職員処遇改善加算を評価した。トータルで見てほしい」と言い訳しました。小規模事業所は調査に応じる余裕すらなく大規模事業所の経営がそのまま反映したと指摘があるなど調査そのものの正当性が問われています。現場の実態を踏まえず厚労省の姿勢に介護現場から怒りの声が出されています。

サービス撤退で利用者・家族が困る

基本報酬を引き下げれば事業の維持・管理に回せる収入は減少し、休廃止する小規模事業所が増加します。そうなれば一番困るのは利用者であり、介護を受けられなければ健康状態も悪化します。小規模事業所への処遇改善の届出支援や財政措置を行うとともに、次回改定を待たず基本報酬を引き上げるべきです。

 

2000年の介護保険制度発足以降、前回改定までに7回の介護報酬改定が行われましたが、居住費・食費の自己負担化を含めた影響率は7回合計でマイナス1.53%です。介護報酬を引き上げてこなかったことが、介護職員不足・介護崩壊を招いてきた根本原因です。

しかも、令和4年の厚生労働省「賃金構造基本統計調査」によれば介護職員の賞与込み給与は全産業平均を月額68,000円下回っています。また前回報酬改定前の2020年を100とした消費者物価指数は、2023年10月時点で107.1まで上昇しています。

大幅引き下げなしにサービス提供が維持できない

職員の処遇改善、物価高騰への対応、感染対策をはじめとした利用者へのサービス向上のためには、10%以上の大幅な介護報酬引き上げが不可欠です。保団連は、2月5日、「国庫負担を拡大し、介護報酬の大幅引き上げと利用者負担軽減を強く求める」談話を発表しました。

【談話】2024年度介護報酬改定に対する談話