後期高齢者2000万人に資格確認書を1年間だけ全員に交付 厚労省「市町村窓口の混乱を防ぎたい」

厚労省は、4月3日、75歳以上の後期高齢者全員に対してマイナ保険証保有の有無にかかわらず全員に資格確認書を交付することを審議会に提案し了承されました。

2025年8月~2026年7月末までの暫定的な対応としています。

後期高齢者でマイナ保険証を保有している人は、1300万人、非保有者は700万人ですが、2000万人すべてに1年間は資格確認書が交付されることになります。

昨年12月のマイナ保険証利用率 65~69歳が33.5%に対し、 85歳以上は17.2%と低い水準です。現在、後期高齢者の発行されている健康保険証は有効期限が2025年7月末に期限を迎えます。厚労省はこのタイミングで、資格確認書の交付を求める方からの申請が、市町村の窓口に集中し混乱することを防ぐための暫定的措置と説明しています。

厚労省の説明を基にすれば、後期高齢者と同様、国保についても従来の保険証が有効期限を迎える直前の市町村窓口での混乱は避けられません。

被用者保険も最長で25年12月1日まで従来の健康保険証を利用できますが、新卒・転職・退職等や資格確認書の希望者への対応で混乱や事務負担が生じます。

そもそもマイナ保険証の利用率の低さを理由とするのであれば、国民全体のマイナ保険証利用率は2月の時点で26.62%と著しく低水準であり、後期高齢者のみに留まる問題ではありません。今回の措置は強引に進めてきた健康保険証廃止のプロセスの行き詰まりを示しているといえます。

マイナ免許証取得者のうち62%が二枚持ちを選択

3月24日に運用開始されたマイナ免許証は、現行の免許証と二枚持ちが可能とされています。警察庁の発表によると、3月24日か3月31日の1週間で117,589人がマイナ免許証を取得。取得者のうち、マイナ免許証のみの保有は4万4543人、従来の免許証と両方の2枚持ちは7万3046人でした。

立憲民主党は、保険証復活法案を衆議院に提出しており、健康保険証の有効期限が迫る中、今国会での審議・成立は喫緊の課題です。保団連の調査でも7割が従来の健康保険証の復活・併用を求めています。そもそも国民皆保険制度である以上、国・保険者が責任をもってすべての被保険者に申請なしで「健康保険証」を交付してきた原則を覆すことは許されません。医療現場は切実に健康保険証の復活を求めています。患者さんが安心して受診できることを第一に考え、すべての国民の受療権を守る立場から、政府は一刻も早く保険証を復活する決断をすべきです。