資格確認書と瓜二つの「資格情報のお知らせ」のみ持参で診療現場でまさかのトラブル

資格確認書(東京・文京区 国保)
資格情報のお知らせ(東京・文京区 国保)

「資格確認書」と「資格情報のお知らせ」の区別がつかない

保団連のマイナ保険証トラブル調査では、「資格確認書」と「資格情報のお知らせ」の区別がついていない、「資格情報のお知らせ」を保険証と勘違いしている、などの事例が多数寄せられました。

マイナ保険証を持っている人に送付される「資格情報のお知らせ」は、法令上、マイナカードとセットで使うこととされ、それ単独では資格確認できない運用となっています。一方で、資格確認書はマイナ保険証を持たない人に交付され、従来の健康保険証と同様、単独で資格確認をすることができます。

「資格確認書」と「資格情報のお知らせ」は見かけや名称が似通っており、記載されている情報もほとんど同じことから区別がつきにくく、また周知が十分にされておらず患者さんも混同しています。今後、「資格情報のお知らせ」をめぐるトラブルの増加が懸念されます。国保・70歳以上の場合は、資格情報のお知らせ(上図)では、有効期限や一部負担金の割合も記載されており、なおかつ切り取って使用できるため紙質もサイズも被保険者番号などの情報など「資格確認書」と全く同じとなるため医療現場で誤認による混乱が生じかねません。

後期高齢者については、従来の健康保険証が7月末でいっせいに有効期限を迎えますが、暫定措置として全員に資格確認書が交付されることとなりました。これもほとんど周知されていないため、後期高齢者からの医療機関窓口での問い合わせも増加傾向にあります。一方で、同様に多くの自治体で7月末に有効期限をむかえる国保については、マイナ保険証をもつ人には「資格情報のお知らせ」、持たない人には「資格確認書」が交付されます。

マイナ保険証を持っている方も申請すれば資格確認書が交付されますがこの案内も行き届いていません。

国保635人が資格情報のお知らせを正しく使える?

65~74歳の市町村国保加入者で、マイナ保険証もっている人は、粗い試算で635万人おり、この方々には「資格情報のお知らせ」のみ送付されます。8月以降、「資格情報のお知らせ」を健康保険証と勘違いして持参する患者が増加することなどが懸念されます。その場合、法令上の資格確認が困難となり、いったん10割負担となるケースも生じかねません。

令和6年9月の市町村国保の被保険者数 2271万人

市町村国保の前期高齢者(65歳~74歳) 978万人

マイナ保険証利用登録率 人口の65%

→前期高齢者で市町村国保に加入している635万人がマイナ保険証利用登録

【寄せられた事例】

1 青森県 医科診療所 マイナ保険証と資格情報のお知らせだけでは、不足情報があり都度、市役所等へ電話確認をしなければならない。
2 沖縄県 医科診療所 ・「資格情報のお知らせ」のみを持って来る方がいた。保険変更の場合、照らし合わせが出来ないので不要
3 広島県 医科診療所 資格情報のお知らせのみの提示。顔認証が出来ない。
4 愛知県 歯科診療所 「資格情報のお知らせ」を見ても必要な情報が書かれていない、電話で確認する手間が増えた。
5 大阪府 医科診療所 そもそも患者様が資格確認書、資格情報のお知らせ、マイナ保険のことへの理解が低いので、今までよりも説明、対応に時間をとられる事が多くなりとても負担に感じている。
6 福島県 医科診療所 毎回、職員の手助けが必要な患者が多い。「資格情報のお知らせ」だけしか持ってこない。1度使えば登録されたと思って2度目から使わなくてよいと思っている。自分でやるのがめんどくさいと言われた
7 大阪府 医科診療所 保険変更をした際、「資格情報のお知らせ」をもたず「資格情報のお知らせ」が必要だとまだ認識されていない。スマホで確認しても最新情報の更新に時差があり、保険変更したのにな…と患者さんが困っておられた。
8 神奈川 医科診療所 資格情報のお知らせを持ってきた(マイナカードを作ってない方)
9 神奈川県 医科診療所 高齢者の方や、操作に不慣れの方が多いので、操作説明で時間をとられる同意をもらってから、資格情報のお知らせで確認する作業が大変
10 神奈川県 医科診療所 紙レセプトなので義務化対象外だが、来院患者から「そのようなクリニックでもマイナ保険証で受診できると役所で言われた」と取り扱いを強要された。以後はマイナカード+資格情報のお知らせで対応している。
11 佐賀県 医科診療所 ・マイナ保険証事態の登ろくミス。・期限切れを患者さん自身で把握できていない、保険証、資格明書資格のお知らせなど分かりにくい・読みこめない。・機械の操作説明。・来院時診察券ない場合の対応、暗証番号不明。
12 神奈川県 医科診療所 ・カードリーダーの操作等の説明に時間がかかる。・「資格情報のお知らせ」「資格確認書」があって、混乱する。
13 神奈川県 医科診療所 機械の不具合が発生したとき、保険証や“資格情報のお知らせ”がない場合保険情報が確認できない。
14 長野県 歯科診療所 機械トラブルが多い、保健証の切りかえがきれてない時がある。公費のひもづけがない「資格情報のお知らせ」を持参しない人が多い
15 愛知県 医科診療所 カードリーダーの使用方法や「資格情報のお知らせ」について聞かれるのでその説明に時間をとられる。
16 静岡県 医科診療所 資格確認書と、資格情報のお知らせを勘違いしている人が一定数来る。マイナンバーで受付する際、支援が必要な方が半数以上。以前までなら必要のない業務で、患者側、従業員側共にストレス。
17 長野県 病院 高齢者が多いので操作説明する時間がかかる。資格情報のお知らせを保険証だと認識している人がいる。
18 佐賀県 医科診療所 資格確認書と資格情報のお知らせの違いが分かりにくいため混乱している。マイナ上負担割合が変更になっていても、本人は割合変更になったことを知らない場合がある。
19 島根県 医科診療所 患者さんが資格確認のお知らせだけで保険証確認ができると思っていた。
20 茨城県 NA マイナを持って来たが情報が反映されてなく、マイナと一緒に持って来る資格情報のお知らせの存在すら知らないと、これで受付がストップしてしまい、患者さんは当院が悪いと思って怒ってくる
21 東京都 医科診療所 資格情報のお知らせと資格確認書と混同していてマイナンバーじゃなくてもこれでいいだろうと言われる(意味ないと思う)。マイナンバーカードをカードリーダーにそもそも高齢者は置けない、ずっとついていないといけなく通常業務が止まってしまう、今後の保険証の質問が多く(知られていないので)通常業務が止まってしまう
22 岡山県 医科診療所 顔認証ができない。上手く取込みができておらず再度依頼。「資格情報のお知らせ」だけしか持参されない方がいる。
23 東京都 医科診療所 資格確認書や資格情報のお知らせなど同じような内容で種類が多く患者さんの混乱をまねいている。
24 愛知県 歯科診療所 資格確認書、資格情報のお知らせ、スマホでの確認と様々な方法での確認の仕方があり、受付が混乱する。
25 東京都 医科診療所 資格情報のお知らせだけで受診できると思われている方が多く分かりづらいとフレームがある。
26 岡山県 医科診療所 患者さん自身がマイナンバーのことをよく分かっていない(マイナンバー持参なく資格情報のお知らせのみ提示されたり…)
27 東京都 医科診療所 保険証、資格確認証、資格情報のお知らせ、と混在するので患者さんも困惑して、説明も大変です。
28 京都府 病院 操作のお手伝いが必要なので、対応に困ることがあります。患者様にマイナ保険証と資格確認書と資格情報のお知らせのちがいを説明するのも大変です。本人確認の認証が上手くいかないときもあり、何度も操作していただくこともあります。
29 東京都 医科診療所 マイナンバーカードをオン資で確認、期限が切れていた。資格情報のお知らせを持参。(オン資と同番号)資格情報のお知らせがあるから、お金は発生しないのではないかと相談されました。
30 京都府 医科診療所 “資格情報のお知らせ”の取扱いがわかりにくい。保険証代わりで持参される方がある。「該当資格なし」とオン資格確認時に表示され、保険者に電話確認することが時々ある。
31 東京都 医科診療所 患者様がマイナ保険証の使い方をわかっていないので、説明する必要がある、資格情報のお知らせや、マイナポータルの活用についても認知されていないと感じる、わかりにくくて、手間だと苦情がある。
32 東京都 医科診療所 患者さん側が、保険証はもう使えないと思い込んでいたり、マイナアプリの操作がわからず資格情報を提示してくれなかったり、保険組合が資格情報のお知らせを発行してくれなかったり。ひとりひとりに対応する時間と手間が大幅に増えたと感じています。
33 愛知県 医科診療所 マイナンバーカードを持参されず、「資格情報のお知らせ」だけを持参されてこれでできると会社からは言われたと強く言われた。
34 広島県 医科診療所 資格情報のお知らせだけを持参される方がいる(周知不足)
35 佐賀県 医科診療所 「資格情報のお知らせ」事務職員の知識不足でそのまま受付した所も多いのでは?当院でも初回は受付しようとしたが私に確認に来たため、受付に不可と説明。
36 岐阜県 医科診療所 資格情報のお知らせのみで受診できると言われた、他の医療機関でも、これだけで受診できている!!を言いはる方がいた。
38 福岡県 医科診療所 「資格情報のお知らせ」の紙のみを持ってくる人が多い。