「際限ない保険外の拡大招く」 健保法改正案の参考人質疑で保団連役員が陳述

2026年4月21日

際限ない保険外の拡大招く 保団連の中村理事 参考人質疑で陳述

 

衆議院厚生労働委員会が4月21日開催され、健康保険法等改正案をめぐり参考人質疑が実施されました。医師・歯科医師の立場から、保団連の中村洋一理事(政策部部長)が陳述しました。

 

保険料軽減33円で負担増は1500円 花粉症患者

中村理事は、OTC類似薬の薬剤費の4分の1を自己負担とするなどの「一部保険外療養」の問題点について詳細に指摘。月33円の保険料軽減にすぎない一方、内服・点眼・点鼻を処方される花粉症の患者では月1500円の負担増になるとして、国が謳う現役世代の保険料軽減に逆行し、「有権者の理解は得られない」と追及しました。また、受診を抑制させ市販薬の利用を促すことは、様々な副作用の発生、さらにオーバードーズ(市販薬の乱用)を助長する危険性が高まるなどの問題点をあげました。

次いで、中村理事は、一部保険外療養では、対象薬剤や金額の拡大に対する歯止めがなく、「医師が投与する薬の多くを対象に保険から外していく」ことが政府のシナリオとして描かれていると指摘しました。また、国会審議を通じて、OTC類似薬以外の薬剤への拡大に留まらず、医療行為全般の給付制限にも拡大できることについて、厚労大臣などの答弁では「否定していない」ことを示し、「政府が軽度とみなす疾患、例えば、採血、水分点滴、皮下注射、簡易な外科処置や短期のリハビリ・心理療法、軽い麻酔など様々な医療行為の給付が制限されていくのではないか」と重大な問題を指摘しました。

配慮規定にしても、国会答弁では、がん・難病の患者でも花粉症などの治療では配慮されず、アトピー患者も季節などに応じて状態悪化して受診するような患者は除外されており、結局、「一部の例外に限定されるのでないか」と疑問を呈しました。

その他、正常分娩への一律単価の設定に関わっては、周産期医療提供体制を確保する観点から、一律単価の新方式と現行方式(出産育児一時金)の併用を認める期間は十分に担保すべきと求めました。

 

国民の分断も 中村理事

議員からの質問では、辰巳孝太郎議員(共産)から、「現在給付している医療を給付制限していく場合、診療現場にどのような影響が起きるのか」との質問がされ、中村理事は、「お金のあるなしで受けられる医療に差が生じ、患者・国民の間に分断を招くことになる」と警鐘を鳴らしました。また、とりわけ小規模な歯科診療所では「収支差額の中央値は1000万円にすぎない」と紹介し、経営自体が成り立たなくなる危険性を指摘しました。

梅村聡議員(維新)から、スイッチOTC化を進める施策への見解を聞かれ、中村理事は「市販の解熱剤使用で排尿困難になった患者を年に数人は診ている」として、OTC化を促進することの危険性を指摘しました。

日野紗里亜議員(国民)からは、「適正化」が必要な医療内容や医療費負担のあり方に関わる質問が出され、中村理事は「新薬薬価の適正な値付けが求められる」と指摘。「日本は高齢化率の高さに比べて医療費は低い水準にある。公費投入の拡大に向けて、金融所得税制の強化、大企業の法人税の課税強化などを検討すべき」と強調しました。

豊田真由子議員(参政)から、「配慮すべき対象者」について聞かれ、中村理事は、在宅患者は医療費と介護費用で現在でも生活がギリギリな状況にあることを具体的な患者さんの事例を基に紹介し、追加負担がかかることの問題点を指摘しました。

中村理事の陳述は、衆議院のビデオライブラリから視聴できます。

https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=56194&media_type=