【一部保険外療養】上野厚労相「現時点でOTC類似薬以外への対象拡大は想定していない」

2026年5月19日

保団連は5月19日の厚労大臣記者会見で、健康保険改正で創設される「一部保険外療養」の薬剤以外への適用拡大について質問しました。

改正健康保険法の第63条第2項で規定される「一部保険外療養」について、法文上、OTC類似薬だけでなく、その他の医療として「療養の給付」全般まで対象に含まれると解釈できる規定になっています。

保団連は、この点について「将来的にOTC類似薬以外に拡大しないと断言できる歯止めとなる法的根拠はあるか」と質問。上野厚労相は、「本法案の附則において、OTC類似薬の一部保険外療養の見直し規定を設けている。法案全体を読めば見直しの対象は薬剤を念頭に置いたものとわかる。現時点でOTC類似薬以外を位置付けることは想定していません」と答弁しました。

一部保険除外の「窓口業務」への適用は否定

財務省が4月28日財政審で主張した「窓口業務の保険給付外化」について、厚労省として法制上、政策上、窓口業務という診療本体を保険除外とする考えはあるか質問しました。

これに対して、上野厚労相は、「厚生労働省としては、一部保険外療養により窓口業務の費用を徴収することは考えていません」と否定しました。

令和9年以降に薬剤は対象拡大を検討

4月28日の大臣会見で上野厚労相は「今後、対象薬剤の拡大について、与党の政調会長間合意や大臣折衝事項において、 OTC 薬品の対応する症状の適用がある処方箋薬品以外の同様薬品の相当部分まで対象範囲を拡大するということを目指すとおっしゃいていますので、そうしたことも踏まえて、施行状況等について厚生労働省において把握、分析を行った上で、令和9年度以降にその対象範囲について検討することとしています」と答弁しました。

厚労相「国民皆保険制度の理念とは矛盾しない」

5月12日の記者会見で保団連は、「今回の一部保険外療養は、薬剤費を一部とはいえ保険外として追加負担を求める内容で、日常的に治療に要する医薬品を保険給付から外すことにほかならない。健康保険法第63条第1項で疾病・負傷に対して、診察、薬剤、処置・手術、看護などを一体で保険給付しており、大前提を覆すもの。これまでの保険外併用療養費制度からみても前例のない制度改変だ」と指摘しました。

これに対し、上野厚労相は「一部保険外療養の定義においても、適正な医療の提供を確保する旨を明記している(法律の第63条第2項第6号)。がんや難病患者などに対しては別途の負担を求めないといった仕組みとすることで、引き続き必要な受診を行っていただくことを前提としている。したがって、必要かつ適切な医療は基本的に保険診療により確保するという国民皆保険制度の理念とは矛盾しないと考えている」と答弁しました。

法律が成立すれば、厚労大臣の裁量で際限なく対象拡大されていくことが強く懸念されます。患者の命や健康、生活を脅かし、国民皆保険制度の根幹を壊す健保法等改正案は、参議院において、徹底審議の上、廃案とすることを強く求めます。

 

参考:一部保険外療養の創設に関する事項

(1)要指導医薬品又は一般用医薬品との代替性が特に高い薬剤を用いた療養その他の適正な医療の提供を確保しつつ、公平かつ効率的な保険給付を行う必要性に鑑みその要する費用のうち一部を保険給付の対象としないものとする療養として厚生労働大臣が定めるものを一部保険外療養とし、被保険者が当該一部保険外療養を受けたときは、保険外併用療養費を支給するものとする。また、当該保険外併用療養費の額は、次のイからロを控除した額とする。(第六十三条第二項、第八十六条第一項、第三項関係)

5月19日厚労大臣記者会見「一部保険外療養について」

 

保団連

改正健康保険法が参議院で審議中ですが、改正によって創設される一部保険外療養は OTC類似薬以外の医療全般に適用拡大されると法制上解釈できる規定になっていると認識しています。将来的にOTC類似薬以外に拡大しないと断言できる歯止めとなる法的根拠はありますか。

財務省は4月28日の財政審で、医療機関における窓口業務費用の保険給付外サービス化を提案しています。今回の「一部保険外療養」を活用・適用して、通常診療における窓口業務が保険適用から除外されるのではないかという懸念が出ています。適用される可能性はありますか。保険適用から除外される場合、法的根拠も含めてご見解をお伺いします。

 

上野厚労相

一部保険外療養については、本法案の附則において、OTC類似薬の一部保険外療養の見直し規定を設けているように、法案全体を読めば見直しの対象は薬剤を念頭に置いたものとなっています。現時点でOTC類似薬以外を位置付けることは想定していません。また、財務省・財政審については、私の方からコメントをすることもありませんが、厚生労働省としては、一部保険外療養により窓口業務の費用を徴収することは考えていません。

 

保団連

窓口業務など診療本体に対して、一部保険外にしたりとか、特別な料金を徴収することは現時点で考えていないということですが、これは法制上もそういうことができないという理解でよいか。 それとも政策上、現時点で考えてないということなのか。

上野厚労相

法制上のお話がありましたけれども、具体的な対象範囲は、下位の法令で定める規定ぶりとなっているので、そのようなご懸念があろうかと思いますが、本法案の附則においては、OTC類似薬の一部保険外療養の見直し規定を設けているので、こうした点から法案からは、見直しの対象は薬剤を念頭に置いたものとなっていると考えています。 繰り返しになりますが、現時点でOTC類似薬以外を位置付けることは想定していません。

 

上野大臣会見概要 |令和8年5月12日|大臣記者会見|厚生労働省

保団連
健康保険法等の改正案の中の一部保険外療養についてご質問します。今回の一部保険外療養は、薬剤費を一部とはいえ保険外として追加負担を求める内容で、日常的に治療に要する医薬品を保険給付から外すことにほかなりません。現行健康保険法第63条第1項で疾病・負傷に対して、診察、薬剤、処置・手術、看護などを一体で保険給付してきていますが、この大前提を覆すもので、これまでの保険外併用療養費制度からみても前例のない制度改変ではないでしょうか。前提を覆した上で配慮対象を設けていくということですが、これでは同じように保険料を支払って、医師の診断・処方がされ、かつ保険適用されている薬であるのに、全額保険給付される患者とされない患者が生じることは制度上不平等・不公平が生じるのではないかと考えますがいかがでしょうか。
厚労大臣
今般のOTC類似薬の保険給付の見直しについては、医療保険制度の持続可能性を確保し、現役世代を中心とした保険料負担を軽減していくため、保険を使って医療用医薬品の処方を受ける方と保険を使わずOTC医薬品で対応する方との公平性を確保する観点から、必要な受診を行った上で、結果的に対象となるOTC類似薬が支給される場合に、別途の負担を求める新たな仕組みです。この考え方のもとで、本制度では、一部保険外療養の定義においても、適正な医療の提供を確保する旨を明記しています。法律の第63条第2項第6号です。また、がんや難病患者などに対しては別途の負担を求めないといった仕組みとすることで、引き続き必要な受診を行っていただくことを前提としています。したがって、必要かつ適切な医療は基本的に保険診療により確保するという国民皆保険制度の理念とは矛盾しないものと考えています。本制度の考え方等について患者の皆様にご理解いただけるように、これからも丁寧に説明を進めてまいりたいと考えています。
保団連
これまで一体で、投薬まで確保されていたものが、一部保険給付から外れるということだと思いますが、これは前例がこれまでなかったのではないかと思いますが、今回、大きくその部分は変えるということでよろしいでしょうか。
厚労大臣
ジェネリック医薬品と既存の薬との関係で同様の制度はあるので、これが全く新しい制度かといわれると、そうではないと考えています。先ほども申し上げたように、今回の制度については、制度全体の持続可能性の確保という観点と、現役世代を中心とした保険料の軽減という観点、OTC医薬品で対応する方とそうでない方との公平性の観点等を踏まえたものですので、その点の趣旨についてはこれからもしっかり説明していきたいと考えています。
保団連
選定療養は患者の選択というところが前提となっていたかと思いますが、今回大臣もおっしゃったように、まず受診し、結果的にOTC類似薬が処方された場合ということで、そういう意味では、受診して必要だということで処方された薬が一部除外されるということでは、これまでの選定療養の考え方からも大きく超えるものだと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
厚労大臣
それとの比較も大事かもしれませんが、先ほど来申し上げているとおり、そういった制度の趣旨で今回見直しさせていただく予定ですので、その点は是非ご理解をお願いしたいと思います。