

7月22日の一部保険外療養検討会資料で、厚労省は、消炎鎮痛剤の外用薬について長期処方した場合でも、配慮対象とせず特別料金を徴収すると提案を行いました。
がんや難病の患者さんや公費医療の対象者、子ども(18歳未満)など患者単位で配慮対象となりましたが、関節リウマチ、繊維筋痛症、アトピー性皮膚炎など慢性疾患患者は、一律に配慮対象とされず配慮対象の類型「通年処方」、「処置等の一環」に該当しないと配慮対象とされず、特別料金の対象となります。今回の提案でこうした慢性疾患の患者さんが消炎鎮痛剤(外用薬)を使用する場合、配慮対象から排除されます。
厚労省は、この間の国会審議、検討会資料などで「慢性疾患を抱えている方は配慮」と説明してきました。関節リウマチ、繊維筋痛症、アトピー性皮膚炎を「配慮すべき慢性疾患」と定めれば患者の追加負担も発生せず医療現場もスムーズに対応できます。厚労省が77成分を単剤だけで通年処方するケースはそもそも稀であることを、データで把握した上で検討している時点で患者へペナルティーを課すことを前提としていると感じます。
特に問題なのが対象患者数が多いため難病指定がはされていない関節リウマチ、繊維筋痛症など慢性疾患が排除されたことです。鎮痛消炎剤の外用薬を長期で利用することが多く経済的な負担もかなり増加します。
関節リウマチは自己免疫疾患なので関節崩壊に伴い、多様で慢性的な痛みが伴います。痛みの原因を除去する生物学的製剤の服用するケースも増えていますが、同時にNSAIDsから非オピオイド系まで各種の消炎鎮痛剤を利用しており、変形性関節症などの併発に伴い局所性の外用貼付剤を利用される患者も多いです。
高齢で働く労働者も排除
高齢でも建築労働者、車両運転手など肉体労働者は慢性腰痛などの痛みを伴う疾患の治療を継続しながら働いています。消炎鎮痛剤の外用薬の保険除外により患者であり労働者である国民に大きな負担増を強いることとなります。健康を保持しながら高齢者の就業促進を進める政府の方針に反します。慢性腰痛を抱えながら治療が両立しなくなり、就業制限につながり、社会の生産性も低下します。
患者の痛みに向き合うべき
厚労省は、「変形性関節症、慢性腰痛等に対する湿布薬又は鎮痛消炎剤については、主として疼痛緩和を目的として処方されるものであり、使用継続の必要性が患者の主観に左右されやすい」と否定的に捉えていますが、完治がなかなか難しい慢性疾患が慢性の痛みを取り除くことは日常生活を送る上で不可欠です。厚労省は、慢性の痛みに苦しむ患者の痛みに向き合うべきです。疼痛緩和を目的とした薬剤だからこそ、高齢者の関節痛に伴う日常動作の低下を防ぎ、フレイルや介護予防に貢献しています。
厚労省は消炎鎮痛剤の外用薬を長期使用した場合でも配慮しない根拠として、変形性膝関節症や慢性腰痛等で消炎鎮痛剤の外用薬の長期間利用での効果測定の研究がないことを根拠にしていますが、研究していないだけで「効果がない」との印象付けていますが、配慮対象外とすることとは無関係です。
さらに、慢性疼痛診療ガイドラインを引用し、「慢性腰痛に対してNSAIDsの効果はあるものの大きくはない」、「漫然とした長期投与は避けるべき」としていますが、腎機能障害などの副作用リスクを考慮すべきという指摘であり、「慢性疼痛に効果がない」ことを意味しません。慢性疼痛の症状を抱える患者さんにおいて副作用のリスクを抱えながら利用せざるを得ない患者さんもいます。消炎鎮痛剤の外用薬を利用する慢性疾患患者を結果的に排除することとなります。排除ありきの恣意的な議論誘導は疑問を感じざるを得ません。


