【OTC類似薬保険除外】診察とは関係ない膨大な業務(9項目)に医師が忙殺される

2026年8月27日

厚労省は8月27日医療保険部会で1042品目の薬の保険除外の配慮措置に関する中間とりまとめを提案しました。

医師が処方箋を発行する都度、追加料金を徴収しない配慮対象に該当するか判定する必要があり、複雑かつ医学的判断に基づかないため説明も納得も得られません。 診察とは関係ない膨大な作業に医師が動員されます。 待ち時間が増加し、医師の診察時間が制限されることは明らかです。

実務フロー( 院外処方の場合)

保険医療機関の業務
◇以下の①~⑨の項目を確認し、別途負担の対象の有無を確認
◇対象外の場合はレセプト及び処方箋に理由を記載する。
◇対象の場合は処方箋に対象であることを記載する

① 処方する医薬品が77成分(1042品目)に該当するか
② 18歳年度末の者か
③ 生活保護の医療扶助か
④ 処方の対象疾患は、OTC医薬品が対応していない効能・効果か
⑤ がん、指定難病に関連する治療か
⑥ 公費負担医療か
⑦ 処置、手術、検査に伴う処方(14日以内分)か
⑧ 年間の服用等が医療上必要か
⑨ (対象となる成分のみ)妊婦・妊娠の可能性・授乳婦か

保険薬局の業務

⑩ 患者への別途の負担の説明
⑪ 別途の負担(薬剤費の4分の1の料金)の支払い(必要に応じ疑義照会)

 

 

長期処方の判定は1年分の薬歴確認が必要

長期処方(内服薬)に関する配慮対象の線引きルールでは、対象となる1042品目の薬剤が処方される患者に対して、医師が最大で過去1年分の治療歴、薬歴を確認することが必要となります。その情報を元に特別料金を徴収する処方箋か、配慮措置が適用される処方箋かを判断し実務的な対応が求められます。日常診療で、患者毎でなく処方箋毎にこれらの対応を行うこととなり複雑・煩雑な作業が強いられ、医師の診療業務に支障が生じます。処方薬に関して薬局とのトラブルも増加し、診療業務に今まで以上の負担を生じます。

リウマチ患者など慢性疾患の多くが配慮対象外に

中間とりまとめでは、必要な医療が確保されるための配慮として「がん患者や難病患者など配慮が必要な慢性疾患を抱えている方」としていますが、指定難病や公費医療の対象者に限定されたことで、関節リウマチ、変形性関節症など配慮対象外とされた患者やアトピー性皮膚炎の患者など一部薬剤が配慮対象外とされた慢性疾患患者が多数存在します。「なぜ配慮が必要ないのか」患者から聞かれて納得が得られる十分な根拠や医学的な妥当性を説明することができません。

「1年以上治療している患者」 → 「1年以上薬剤を服用している患者」

中間とりまとめでは、「必要な医療が確保されるための配慮として医師が対象医薬品の長期使用等が医療上必要と考える方に対して別途負担を求めない配慮を行う」としています。厚労省の説明によると、難病患者など配慮が必要な慢性疾患患者(公費医療の対象者)は、完治が難しい疾患で生涯にわたり対象薬剤を使用する可能性があることが配慮対象の判断基準とされています。しかし、難病患者やがん患者において必ずしも対象薬剤を通年処方していない薬剤もあります。また、関節リウマチ、繊維筋痛症など、難病指定されていないが完治が難しい慢性疾患の多くが配慮対象外とされています。社保審医療保険部会で決められた「医師が対象医薬品の長期使用等が医療上必要と考える方」とするルールが必要な医療が確保されるとする医学的・薬学的な根拠も不確かです。「技術的検討会」では、医学的・薬学的根拠を論拠に、内服薬においては年50週以上が配慮対象、外用薬は長期処方でも原則配慮対象外としたが、臨床実態と大きな齟齬が生じ、医師が患者に説明、納得が得られるとは到底思えません。

判定ミスでレセプト返戻も

処方箋発行後に、患者や薬局からの申し出等で過誤が生じた場合の訂正作業等も必要であり、レセプト請求後に発覚した場合、レセプト返戻が生じる可能性も出てきます。初診患者において、初診から半年間は追加料金を徴収し、その後も継続治療が必要な場合、別途負担の対象外とする案も出されていますが、患者トラブルを誘因しかねません。

日常診療に全くプラスにならない追加的な業務を強いることになり、医師の診療妨害とも言うべき状況を引き起こしかねないことを強く懸念します。医療現場に導入すべきではありません。

参考 別途負担を求めない者の範囲(中間取りまとめ概要)

・効能効果の対応関係がない場合(医療用にのみ記載がある効能効果)

・がん患者:がん治療・副作用・有害事象への対応は対象外。がんと無関係の一般的症状は対象。

・難病患者:指定難病にかかる治療等は対象外。指定難病以外の症状は対象。

・公費負担医療対象者:対象外。ただし地方単独の公費負担医療は対象。

・入院患者:急性期・慢性期で医師の管理下にある場合。

・処置等に伴う処方(14日以内)は対象外。処置前から症状がある場合は対象。

・長期使用(内服薬):年間概ね50週以上の使用を前提に対象外。

・長期使用(外用薬):患者ごとの使用量・頻度に個人差が大きいため、医師が総合的に判断。

※経過措置(令和10年度まで):鎮痛消炎剤(変形性膝関節症ケール分類グレード4以上)、皮膚保湿剤・皮膚保護剤・角化症治療剤は対象外とし、以降見直し。

・OTC添付文書に「服用しない」と記載がある場合:妊婦等への医師判断による処方は対象外。その他は効能効果の違いや長期使用等の観点で個別判断。

・子ども(18歳到達後最初の3月末まで)

・低所得者:生活保護受給者。

※長期収載品の選定療養との重複がある場合:OTC類似薬の別途負担を優先し、長期収載品の選定療養の特別料金は求めない。