【OTC類似薬保険除外】11万筆を厚労省に提出 薬の負担増撤回を求める

2026年9月18日

痛みに耐えて働く患者も追加負担増に

厚労省が9月16日の医療保険部会でとりまとめたOTC類似薬の一部保険外療養化に係る配慮措置では、関節リウマチ、変形性関節症、アトピー性皮膚炎、アレルギー疾患など患者が服用する薬剤が配慮対象外となります。1042品目の薬を対象に27年3月から薬剤費の25%が窓口負担金とは別に徴収されます。

腰やひざの痛みを抱え鎮痛消炎剤を使いながら働く建築職人、介護労働者など現場労働者に大きな負担を強いることとなります。介護や建築・交通など公共インフラを支える労働者への“仕打ち”とも言える制度導入は中止すべきです。保団連は患者さんたちと一緒に9月17日に厚労省にOTC類似薬の追加負担に反対するオンライン署名(11万筆)を厚労省に提出し、痛みに耐えながら低賃金で働く労働者の実態を伝え、実施中止を求めました。

 

保団連 中村洋一

OTC類似薬に別途負担を求めることで、患者の受療行動に変容が出て「中間取りまとめ」ではその影響調査を実施後行うとしているが、薬剤の患者への安全性の観点から問題である。もっと専門家を交えて関係学会とも検討を重ねて、配慮対象者の取り扱いなどの制度設計をすべきである。それまでは拙速な導入を見送るべきである。現場の医療機関にとって、OTC類似薬を患者個別ごとに、処方薬ごとに対象か否かを選別し印を処方箋に記載することは非常に煩瑣である。外来診療時間に大きな影響を及ぼし、その後の患者からの問い合わせなどへの対応を含めると医師や医療事務への負担は大きい。また電子処方箋では薬局での受け渡しの場での患者申出による変更などは、再度の入力が必要になり一層の負担が増す。したがって、こうした問題を解決するまでは別途負担を求める対応そのものを中止すべきである。

建築職人/リウマチ患者 渡辺義久(東京土建一般労働組合中央副執行委員長)

私は34歳でリウマチを発症し、30年間治療を続けています。疼痛を抑えるために処方されてきたステロイドの副作用で骨粗しょう症になり、それが原因の腰痛を抱えながら、建築タイル工事業を営んでいる。現在も、医師の指示でロキソニンテープを使用して痛みを抑えている。この薬があるからこそ、仕事を続けることができる。湿布薬は、仕事を続け、生活を維持するために必要な薬だ。現在、ロキソニンテープ1袋7枚入りの窓口負担は3割負担の患者で38円ほどだが、一部保険外療養制度が始まれば60円となり、自己負担は約1.6倍になる。私の場合、リウマチの治療薬や疼痛を抑える薬など、さまざまな薬が処方され、調剤料や診察料も含めると、年間の医療費は40万円から50万円にのぼる。今でさえ軽くない負担に、さらに新たな負担を加えないでいただきたい。これが患者としての率直な願いだ。

さらに心配なのは、今後、対象範囲や追加負担が拡大される可能性だ。上野厚生労働大臣は、「令和9年度以降にその対象範囲について検討することとしている」と答弁している。対象範囲が広げられ、追加負担の割合も拡大されれば、最終的には「保険で処方するのではなく、自分で市販薬を買ってください」ということにもなりかねない。市販のロキソニンテープは1袋7枚で約1800円です。現在の窓口負担の50倍近い金額だ。このような負担になれば、治療を続けながら仕事と生活を維持していけるのか、本当に不安だ。

組合の仲間には、長年の仕事によって腰や膝、肩、ひじなどに慢性的な痛みを抱えている人がたくさんいる。重い資材を運び、無理な姿勢で作業し、脚立や足場を上り下りする。こうした作業を何年、何十年と繰り返す中で、身体への負担が積み重なり、痛みとなって現れる。突発的な事故によるものでない限り、腰痛で労災認定を受けることは簡単ではない。そもそも、自分が労災の対象になり得るということを自覚していない人もいる。そのため、仕事によって生じた痛みであっても、健康保険を最後のよりどころとして治療を続けている仲間がたくさんいる。そうした人たちに、さらに医療費負担を求めてよいのか。

この間、政府が「要配慮者」に対して追加負担させないという方針だと聞き、私たちは、どのような基準になるのか注視してきた。ところが、8月5日に示された中間とりまとめ案を見て、強い危機感を覚えた。慢性的な痛みを抱えている患者の多くが、配慮の対象から外されることが分かったからだ。

第一に、「継続使用の必要性は患者の自覚症状に左右されやすい」としているが、これは患者の心理的な主観と、現実に患者の体に生じている痛みとを混同した主張ではないか。痛みの緩和は患者にとって最も切実な問題だ。それによって仕事や日常生活にどのような支障が生じているのかは、患者にとって非常に重要な医療上の問題だ。

第二に、「その薬を1年間使った場合の有効性がガイドラインに示されていない」ことと、「個別の患者について、その薬を1年間使用しても効果がない」ということは同じではない。自覚症状である以上、薬が効いていれば、それは患者自身が一番よく分かる。患者にとって、その薬の継続使用は明らかに効果がある。第三に、慢性疾患による痛みは、制度上の期限によってなくなるものではない。それにもかかわらず、なぜ配慮措置に期限を設け、令和10年なのか。最後に、私たちが最も問題にしたいのが、「病変が見えるかどうか」を基準として医療の必要性を線引きする考え方です。腰痛の85%は、画像診断や血液検査では、その原因となる明確な病気や損傷を特定できない「非特異的腰痛」だと言われています。画像で明確な異常が確認できないことと、「原因がない」こと、あるいは「痛みがない」「症状が軽い」ということは、まったく別の問題だ。実際の痛みの強さや生活・仕事の支障に基づいて評価するべきだ。とりまとめでは、「一部保険外療養の実施に当たっては、こども、がん患者や難病患者など配慮が必要な慢性疾患を抱えている方、低所得者、入院患者、医師が対象医薬品の長期使用等が医療上必要と考える方等に対しては、別途の負担を求めない配慮を行う」としている。しかし、「慢性疾患を抱えている方」という「くくり」の中で列挙されているのは、「がん患者」、「指定難病患者」、「国の公費負担医療の対象者」だけだ。それ以外の患者については、「医師が対象医薬品の長期使用等が医療上必要と考える方」として、通年・50週という投薬期間などの基準に置き換えられている。長年慢性疾患に苦しんできた多くの患者は、難病指定されていなければ「配慮が必要な人」には当たらないのか。さらに、とりまとめでは、鎮痛消炎剤の外用薬について、「主に痛みの緩和を目的として使用され、継続使用の必要性は患者の自覚症状に左右されやすい」、「短期的な有効性は確認されているが、1年間にわたる継続使用の有効性や必要性が診療ガイドラインで明確に示されている薬は一部しかない」といった内容に整理された。その上で、「単に通年で使用しているというだけでは配慮措置の対象とはせず、画像検査などによって慢性・重度の疾患が確認されていること、医師が毎日の継続使用を必要と認めていること、という要件を満たす患者に限って、令和10年度末まで配慮措置を講じる」としている。

難病患者の家族 大藤朋子

配慮基準の低所得者が生活保護費の医療扶助受給者に限られていることについてです。とても不安を感じています。なぜなら、2026 年3 月に行った「OTC類似薬」負担増についてのオンラインアンケートに、多くの人が「治療を続けられず、症状が悪化すれば仕事もできなくなる」という切羽詰まった声を寄せたからです。アンケートに回答した全8,114人のうち自由記述を5,578人が寄せてくれた。そのコメントを分析したところ、回答者の3分の2にあたる65.4%、3,646人が家計の圧迫や金銭的負担の増加で生活が立ち行かなくなることを懸念していた。こうした声は、これまでも厚労省に届けてきましたが技術的検討会などを経て出てきた「中間とりまとめ」では、追加負担とならない配慮対象は、低所得でいえば、生活保護費の医療扶助受給者という狭い範囲に限られた。コメントを寄せた人たちは救われないのではないかと不安に思う。こうした国民の声や生活実態は、今回の薬代の負担増に関して無視できないものと思いますが、厚労省としてどう受け止めているのか。

アンケートに保育現場で働く方から切実なコメントが寄せられましたので紹介する。

○私はアレルギー性鼻炎に伴って気管支が腫れて苦しくなってしまうのですが、それをOTC類似薬に含まれる薬で症状を抑えています。私の場合花粉の季節だけでなく一年を通して症状が出るため薬も一年を通して受診をして処方してもらっています。保育士の給料でこれらの薬の値段が上がってしまうことは正直痛いです。かと言って薬を飲まずにいれば喉が腫れ、声が出ず、子どもたちに声をかけてあげることもできません。外に出て子どもと遊ぶためにアレルギー皮膚炎を持つ先生で薬を処方してもらって外遊びに行く方もいます。また、子どもたちの背丈に合わせてしゃがむ、手をつなぐ低い机を使う、おんぶ抱っこなどが必須になってくるので腰痛や肩の痛みは保育士が必ずもつ病であることは保育士の中では当たり前の常識となっています。この上湿布まで十分には使えず差し迫った頃に切り詰めて使っていくようになっては悪化する一方です。けして贅沢をするような生活はしていませんでしたが、これからは病院にかかって薬をもらうことにも躊躇せざるをえません。(20代・アレルギー性鼻炎、臼蓋形成不全、剥離骨折)

難病患者の場合、難病に関連している症状かどうかを、担当医以外で判断できるか不安に感じている。難病患者やがん患者については、その病気自体を治療するために使われるOTC類似薬については追加負担の対象外となりましたが、難病やがん患者でも、その傷病以外の治療に対して処方されたOTC類似薬は、追加負担の対象になる。難病患者の場合、症例が少ないためどの医師でも病気を熟知できているわけではないのが現状だ。例えば、急な病変で病院にかかった場合、担当医が居なかったりすることもままある。そうした場合でも、難病に付随して発症した傷病だと、きちんと診断していただけるのか不安だ。不随している傷病かどうかの判断を患者が確認できるのは、どのタイミングなのか。出来上がった処方箋を見て、判断するという事か。院外処方薬局で説明されて初めて気づくのか。こうした不安を患者が抱かなくて済むよう、国に適切な対応を求めたい。