
健保法の根幹をゆるがす問題
OTC類似薬の負担増を含む健康保険法改正案で、薬剤だけでなく診察や処置、在宅医療なども保険給付から一部外すことが可能になっていることが分かりました。保団連が4月10日に行ったOTC類似薬の負担増に関する要請で、厚労省が答えました。健康保険法の根幹をゆるがす問題です。
「法文上は(負担増の仕組みを)拡大可能」
保団連は要請を前に、健保法の趣旨との矛盾や、被保険者の平等性などについて5つの事前質問をしました。
この中で、法律案要綱の第1の2「一部保険外療養の創設に関する事項」で、対象となる「その他の適正な医療の提供」について、健保法第63条1~5の診察、処置・手術、在宅療養・看護、入院・看護などが含まれるのか確認したところ、「法文上は含まれる」との回答でした。つまり、医薬品以外にも負担増の仕組みを拡大することが可能になっています。
医師・患者・労働者の立場から訴え
このほか要請では、薬の自己負担が増えることについて、医師や患者・家族、労働者の立場から深刻な影響を訴えました。
保団連政策部長の中村洋一医師は「慢性疼痛の高齢者が負担増のために薬を控えれば、活動量が低下して認知症リスクが上がる。医師としては薬をきちんと使うことを前提に治療していても、患者さんが薬局で買うのを控えてしまえば、思ったような治療効果が得られず、適切な診療もできなくなる。痛みや違和感の陰に重大な疾患が隠れていることがあるが、早期の診断は一般の人には難しい。自己判断で安易に市販薬でやり過ごすより、きちんと医療機関を受診すべきだ」と話しました。
難病患者の子どもをもつ大藤朋子さんは、金銭的な問題で皮膚科の治療を中断してしまった患者さんの例を紹介し、「薬があるから日常生活を送ることができ、仕事や学業に励むことができている人がたくさんいます。OTC類医薬への追加負担は白紙撤回してください」と求めました。
東京土建一般労働組合からは、資材高騰など建設業界を取り巻く不安な状況と昨年11月のアンケート結果が紹介されました。「82.5%が何らかの病気で受診・通院しており、約7割がOTC類似薬の利用経験があります。すべての労働者にとって薬は働き続けるために不可欠で、生活と仕事の存続に直結します」とし、建設労働者個人の生活にとどまらず、住宅やインフラ、災害復旧など国民生活全般に影響する問題だと訴えました。


